幸甚
こうじん
目次
  1. 「幸甚」の意味
  2. 読み方・表記
  3. 使い方と例文
  4. 語源・由来
  5. 類語・関連語
  6. よくある質問
かんたんに言うと

「幸甚」(こうじん)は、「この上もなく幸せ」「大変ありがたい」という意味の言葉です。主にビジネスメールや手紙など書き言葉で使われ、「幸甚に存じます」「幸甚の至りです」のように、感謝や依頼を丁寧に表現する際に用います。

「幸甚」の意味

「幸甚」は、「幸」(さいわい・しあわせ)と「甚」(はなはだ・非常に)を組み合わせた漢語で、「この上もない幸せ」「非常にありがたいこと」を意味します。名詞としても形容動詞としても使えます。

日常会話ではほとんど使われず、ビジネスメール・手紙・式辞など、フォーマルな書き言葉で使うのが一般的です。相手に何かをお願いするとき、感謝を伝えるとき、贈り物をするときなどに「最上級の丁寧さ」を表す表現として重宝されます。

1. 依頼・お願いの場面

相手に何かをしてもらいたいときに、「~していただければ幸甚です」という形で使います。「幸いです」よりもさらに丁寧で格式の高い表現です。

2. 感謝・お礼の場面

相手の厚意や対応に感謝するときに、「幸甚に存じます」「幸甚の至りです」のように使います。取引先や目上の方への改まった感謝を伝える表現です。

3. 贈答・案内の場面

手紙の結びなどで、「ご笑納いただければ幸甚です」「ご出席いただければ幸甚に存じます」のように、贈り物やイベントの案内に添える使い方です。

読み方・表記

「幸甚」の読み方は「こうじん」です。

「幸」は音読みで「コウ」、「甚」は音読みで「ジン」と読みます。「甚」の字は「甘」(あまい)と「匹」を組み合わせた会意文字で、「はなはだしい」「非常に」を意味します。「甚大」(じんだい)や「激甚」(げきじん)の「甚」と同じ字です。

「甚」を「じん」と読むのは呉音に基づく読み方です。

使い方と例文

「幸甚」は主に以下のパターンで使われます。

  • 「幸甚に存じます」:最も丁寧な定番表現
  • 「幸甚です」:やや簡潔な表現
  • 「幸甚の至りです」:最上級の感謝を示す表現
  • 「幸甚に存じ上げます」:「存じます」をさらに丁寧にした表現
「幸甚」を使った例文
  • お忙しいところ恐れ入りますが、ご検討いただければ幸甚に存じます。
  • このたびはお心遣いを賜り、幸甚の至りに存じます。
  • ご都合がよろしければ、ぜひご出席いただければ幸甚です。
  • つまらないものですが、ご笑納いただければ幸甚に存じます。
注意

「幸甚」は非常に格式の高い表現です。同僚や親しい間柄の人に対して使うと、かえって堅すぎる印象を与えます。社外の取引先・目上の方・公式な手紙など、改まった場面で使いましょう。また、ひとつの文章の中で何度も使うとくどく感じられるため、1通のメール・手紙で1回程度にとどめるのが適切です。

語源・由来

「幸甚」は漢語がそのまま日本語に取り入れられた言葉です。

「幸」は「さいわい」「しあわせ」を意味する漢字で、もともとは手かせの形を表す象形文字とされ、「刑罰を免れる幸運」から転じて「幸せ」の意味になったとする説があります。

「甚」は「はなはだ」「非常に」を意味する漢字です。『説文解字』では「甘」(うまい)と「匹」(つれあい)の会意文字とされ、「夫婦の楽しみ」から転じて「はなはだしい」の意味が生まれたとされています。ただし、金文の字形から見るとこの分析は正確ではないとする説もあり、字源には諸説あります。

この2つが合わさり、「幸甚」=「幸せなこと甚だしい」=「この上もなく幸せ」という意味になります。古くから漢文の手紙文で使われてきた表現で、日本でも書簡の定型表現として定着しました。

類語・関連語

よくある質問

Q「幸甚です」と「幸いです」の違いは?
A意味はほぼ同じですが、「幸甚です」の方がはるかに格式が高い表現です。「幸いです」は社内メールなど日常的なビジネスシーンでも使えますが、「幸甚です」は取引先や目上の方への改まった文書に向いています。
Q「幸甚」は口頭でも使える?
A一般的には書き言葉として使われます。式辞やスピーチなど格式の高い口頭の場面で使われることもありますが、日常のビジネス会話で使うと堅すぎる印象になります。口頭では「ありがたく存じます」「幸いです」などが自然です。
Q「幸甚」の「甚」は何と読む?
A「ジン」と読みます。「はなはだ(しい)」「非常に」を意味する漢字で、「甚大(じんだい)」「激甚(げきじん)」などの熟語でも使われます。
佐藤文哉
この記事の監修者 佐藤文哉 編集長 / ライター歴15年