「付く」は物理的にくっついたり、何かが加わったりすることを表す一般的な表記です。「憑く」は霊や物の怪が乗り移ることを表す特殊な表記で、ホラーや怪談などで使われます。日常的な文章では「付く」やひらがなの「つく」を使い、霊的な意味を強調したい場合に「憑く」を使うと覚えておきましょう。
| 項目 | 付く | 憑く |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 物理的な付着・接触 | 霊が乗り移る |
| 漢字の種類 | 常用漢字 | 人名用漢字(訓読みは表外) |
| 使用頻度 | 日常的に広く使う | 怪談・ホラーなど限定的 |
| 主な使用例 | 汚れが付く、知恵が付く | 霊が憑く、狐が憑く |
| 代表的な熟語 | 付着、付属、添付 | 憑依、憑き物、狐憑き |
「付く」の意味と使い方
「付く」は、あるものが他のものにくっついたり、何かが加わったり備わったりすることを表す最も一般的な表記です。常用漢字であり、日常のさまざまな場面で使われます。
物理的な付着だけでなく、「力が付く」「知恵が付く」のように能力が備わる意味や、「おまけが付く」「条件が付く」のように何かが加わる意味でも使われます。
「憑く」の意味と使い方
「憑く」は、霊や物の怪、妖怪などが人に乗り移ることを表す漢字です。「憑依(ひょうい)する」「取り憑く」といった意味で使われます。
「憑」は人名用漢字で、訓読みの「つく」は常用漢字表外の読み方です。そのため、一般的な文章では「付く」やひらがなで書かれることが多く、「憑く」は小説や怪談、ホラー作品など、霊的な雰囲気を出したい場面で使われます。
なお、辞書では「付く」の項目に「(憑くとも書く)乗り移る」と併記されていることが多く、どちらを使っても間違いではありません。
- この屋敷には何かが憑いているらしい。
- まるで何かに憑かれたように絵を描き続けた。
- 狐が憑いたと言われて、祈祷師を呼んだ。
- 『源氏物語』には物の怪が憑く場面が描かれている。
語源・由来
「付」は「人」と「寸」(手)を組み合わせた会意文字で、手で物をくっつける動作を表しています。そこから「くっつく」「加わる」という意味が生まれました。
「憑」は形声文字で、「心」(意味を表す部分)と「馮(ひょう)」(音を表す部分)から成ります。「馮」の音は「驫(ひょう)」に由来するとされ、「驫」は群れの馬が何かに憑かれたように狂奔する様子を表す字です。ここから「よりかかる」「もたれる」という意味が生まれ、やがて「霊が乗り移る」という意味でも使われるようになりました。
迷ったときは「付く」を使おう
「憑く」は人名用漢字であり、訓読み「つく」は常用漢字表に含まれていません。そのため、一般的な文章やビジネス文書では「付く」やひらがなの「つく」を使うのが無難です。
「憑く」を使うのは、以下のような場面に限られます。
- 小説や怪談で霊的な雰囲気を出したいとき
- 「狐憑き」「憑き物」など、慣用的な表現として
- ホラー映画やゲームのタイトル・説明文
なお、「今日はツイている」「運が付いている」のような幸運を意味する「つく」は、「付く」と書くか、ひらがなで書くのが一般的です。「憑く」は使いません。
よくある質問
「取り憑く」と「取り付く」はどちらが正しいですか?
霊が乗り移る意味では「取り憑く」、物理的にしがみつく意味では「取り付く」を使います。ただし、辞書では「取り付く」の項目に霊が乗り移る意味も含まれており、どちらでも通じます。
「憑依」と「付着」の違いは何ですか?
「憑依(ひょうい)」は霊などが人に乗り移ることで、「付着(ふちゃく)」は物が表面にくっつくことです。「憑」は霊的な意味、「付」は物理的な意味と覚えると区別しやすいでしょう。
「憑き物が落ちる」とはどういう意味ですか?
長い間心にかかっていた悩みや執着がなくなり、すっきりした状態になることを表す慣用句です。本来は取り憑いていた霊が離れるという意味でしたが、現在では比喩的に使われます。
「憑」の読み方は「つく」以外にもありますか?
音読みは「ヒョウ」で、「憑依(ひょうい)」「信憑(しんぴょう)」などの熟語で使います。訓読みは「つく」のほか、「よる」「たのむ」などがありますが、いずれも常用漢字表外の読みです。