目次
  1. 「避難勧告」は2021年に廃止された
  2. 廃止された理由
  3. かつての「避難指示」と「避難勧告」の違い
  4. 「避難指示」の意味と使い方
  5. 「避難勧告」の意味(廃止済み)
  6. 避難指示と避難命令の違い
  7. 現在の警戒レベルと避難行動
  8. よくある質問
結論

かつて「避難勧告」は避難を促す情報、「避難指示」はより切迫した状況で出される情報でした。しかし、両者の違いが分かりにくく逃げ遅れの原因となっていたため、2021年5月に「避難勧告」は廃止され、「避難指示」に一本化されました。現在は「避難指示」が発令されたら、危険な場所から全員避難する必要があります。

避難指示

ひなんしじ
現行制度で使用
全員避難が必要

避難勧告

ひなんかんこく
2021年5月廃止
避難指示に一本化
項目 避難指示 避難勧告(廃止)
現在の状況 現行制度 2021年5月廃止
警戒レベル レベル4 レベル4(当時)
意味(当時) 切迫した状況での避難命令 避難を促す勧め
強制力 なし(罰則なし) なし(罰則なし)
発令者 市区町村長 市区町村長(当時)
とるべき行動 危険な場所から全員避難 避難開始(当時)

「避難勧告」は2021年に廃止された

2021年5月20日に改正災害対策基本法が施行され、「避難勧告」は廃止されて「避難指示」に一本化されました。

これにより、現在の避難情報は以下の3段階になっています。

警戒レベル 名称 とるべき行動
レベル5 緊急安全確保 命の危険、直ちに安全確保
レベル4 避難指示 危険な場所から全員避難
レベル3 高齢者等避難 高齢者等は避難開始

重要なのは「レベル4の避難指示で必ず避難」ということです。レベル5の「緊急安全確保」は、すでに災害が発生しているか切迫している状況であり、安全な避難ができるとは限りません。

廃止された理由

「避難勧告」が廃止された背景には、以下の問題がありました。

違いが分かりにくかった

政府が実施した住民アンケートによると、「避難勧告」と「避難指示」の違いを正しく理解していたの2割未満でした。どちらの方が緊急性が高いのか、多くの人が判断できていなかったのです。

「避難指示を待つ」という事態が発生

避難勧告と避難指示の2段階があったことで、「避難勧告ではまだ大丈夫」「避難指示が出てから避難しよう」と考える人が多くいました。その結果、避難が遅れて被災するケースが相次ぎました。

警戒レベル4に2つの情報が混在

2019年に導入された警戒レベルでは、避難勧告も避難指示も同じ「レベル4」に位置付けられていました。「レベル4=全員避難」であるにもかかわらず、避難勧告の段階では避難しない人が多かったのです。

かつての「避難指示」と「避難勧告」の違い

廃止前の制度では、「避難勧告」と「避難指示」には以下のような違いがありました。

避難勧告(2021年廃止)

災害が発生するおそれがある場合に、住民に避難を「勧める」情報でした。「勧告」という言葉が示すとおり、避難するかどうかは住民の判断に委ねられていました。

  • 災害発生の可能性がある段階で発令
  • 避難を促すが、強制力はない
  • 基本的には避難勧告で避難を開始することが想定されていた

避難指示(現行)

災害が発生するおそれが高い、または災害が切迫している場合に、住民に避難を「指示」する情報です。避難勧告よりも緊急性が高い情報として位置付けられていました。

  • 災害が切迫している段階で発令
  • 「指示」だが法的な強制力はない(罰則なし)
  • 現在は避難勧告の役割も統合し、レベル4で発令
廃止前の避難情報の流れ(参考)
  • 避難準備・高齢者等避難開始(レベル3)→ 高齢者等が避難開始
  • 避難勧告(レベル4)→ 住民が避難開始
  • 避難指示(緊急)(レベル4)→ より切迫、全員避難
  • 災害発生情報(レベル5)→ 命を守る行動

「避難指示」の意味と使い方

現行の「避難指示」は、災害対策基本法第60条に基づき、市区町村長が発令する避難情報です。警戒レベル4に相当し、「危険な場所から全員避難」が求められます。

避難指示が発令されたら、ハザードマップで危険とされている地域にいる人は、速やかに安全な場所へ避難する必要があります。

避難指示の伝達手段

  • 防災行政無線
  • 緊急速報メール(エリアメール)
  • テレビ・ラジオの速報
  • 自治体の広報車
  • 消防団・町内会による口頭伝達
「避難指示」を使った例文
  • 河川の水位上昇により、○○地区に避難指示が発令された。
  • 避難指示が出たら、速やかに避難所へ向かってください。
  • 警戒レベル4の避難指示で、危険な場所から全員避難が必要です。

「避難勧告」の意味(廃止済み)

「避難勧告」は、2021年5月19日まで使用されていた避難情報です。災害が発生するおそれがある場合に、住民に避難を促すものでした。

「勧告」という言葉には「こうした方がよいと勧め告げる」という意味があり、強制力を持たない「お願い」のニュアンスがありました。このため、避難しない人が多かったのです。

現在はこの言葉は使われていませんが、過去のニュースや災害記録を読む際には知っておくと役立ちます。

「避難勧告」を使った例文(過去の用法)
  • 大雨警報を受けて、市は○○地区に避難勧告を発令した。
  • 避難勧告が出ているが、避難所に向かう人はまだ少ない。
  • 避難勧告の段階で避難していれば、被害を防げたかもしれない。

避難指示と避難命令の違い

日本の法律には「避難命令」という用語は存在しません。一般的に「避難命令」と呼ばれることがありますが、正式には「避難指示」です。

また、避難指示には法的な強制力はなく、従わなくても罰則はありません。ただし、「警戒区域」が設定され、立ち入り禁止となった場合は、違反すると10万円以下の罰金または拘留が課されます。

現在の警戒レベルと避難行動

災害時に適切な行動をとるために、警戒レベルと避難情報の関係を理解しておきましょう。

レベル 避難情報 行動 発表者
5 緊急安全確保 命の危険、直ちに安全確保 市町村
4 避難指示 危険な場所から全員避難 市町村
3 高齢者等避難 高齢者等は避難開始 市町村
2 大雨・洪水注意報等 避難行動の確認 気象庁
1 早期注意情報 心構えを高める 気象庁

レベル4「避難指示」までに必ず避難を完了させましょう。レベル5は災害がすでに発生している可能性があり、安全な避難ができるとは限りません。

よくある質問

Q
避難勧告はもう使われない?
A
はい、2021年5月20日以降、避難勧告は廃止され使われていません。現在は「避難指示」に一本化されています。ニュースや自治体からの情報で「避難勧告」が出ることはありません。
Q
避難指示が出たら必ず避難所に行く?
A
避難所に行くことだけが避難ではありません。ハザードマップで安全が確認できるマンションの上層階であれば、「屋内安全確保(垂直避難)」も選択肢です。ただし、土砂災害の危険がある地域では立ち退き避難が原則です。
Q
避難指示に従わないと罰則はある?
A
避難指示に従わなくても罰則はありません。ただし、「警戒区域」が設定されて立ち入り禁止となった場合は、違反すると10万円以下の罰金または拘留が課されます。
Q
「緊急安全確保」とは?
A
警戒レベル5の避難情報で、災害がすでに発生しているか、切迫している状況で発令されます。この段階では安全な避難が困難な可能性があるため、今いる場所で命を守る行動(上の階への移動、崖から離れた部屋への移動など)をとってください。