目次
  1. 「放射線」の意味と使い方
  2. 「放射能」の意味と使い方
  3. 「放射性物質」の意味と使い方
  4. 語源・由来
  5. 半減期とは
  6. ベクレルとシーベルトの違い
  7. よくある質問
結論

「放射線」は放射性物質から出る高エネルギーの光線のようなもの、「放射能」は放射線を出す能力、「放射性物質」は放射線を出す物質そのものです。懐中電灯にたとえると、光が「放射線」、光を出す能力が「放射能」、懐中電灯本体が「放射性物質」に相当します。

放射線

ほうしゃせん
出てくる光線
(懐中電灯の光)

放射能

ほうしゃのう
放射線を出す能力
(光を出す力)

放射性物質

ほうしゃせいぶっしつ
放射線を出す物質
(懐中電灯本体)
項目 放射線 放射能 放射性物質
懐中電灯のたとえ 光を出す能力 懐中電灯本体
意味 高エネルギーの粒子・電磁波 放射線を出す能力 放射線を出す物質
単位 シーベルト(Sv)※被ばく量 ベクレル(Bq) ベクレル毎キログラム(Bq/kg)
具体例 α線、β線、γ線、X線 ウランの放射能 ウラン、セシウム、ヨウ素
時間経過 遮蔽物で防げる 半減期で減衰 別の物質に変化

「放射線」の意味と使い方

「放射線」は、放射性物質から放出される高エネルギーの粒子や電磁波の総称です。目に見えない光線のようなもので、物質を透過したり、原子をイオン化(電離)させたりする性質があります。

懐中電灯のたとえでいえば、懐中電灯から出る「光」に相当します。光が壁に遮られるように、放射線も鉛やコンクリートなどで遮蔽することができます。

放射線の種類

  • α線(アルファ線) – ヘリウムの原子核。紙1枚で遮蔽可能
  • β線(ベータ線) – 高速の電子。薄い金属板で遮蔽可能
  • γ線(ガンマ線) – 電磁波。鉛やコンクリートで遮蔽
  • X線 – 電磁波。レントゲン検査などで利用
  • 中性子線 – 中性子の流れ。水やコンクリートで遮蔽
「放射線」を使った例文
  • レントゲン検査で放射線の一種であるX線を使う。
  • 放射線は目に見えないが、測定器で検出できる。
  • 放射線治療でがん細胞を攻撃する。

「放射能」の意味と使い方

「放射能」は、放射性物質が放射線を出す能力(性質)のことです。「能」という漢字が示すとおり、物質そのものではなく「能力」を指します。

懐中電灯のたとえでいえば、「光を出す能力」に相当します。電池が切れると光を出す能力がなくなるように、放射性物質も時間とともに放射能が弱まっていきます。

放射能の単位は「ベクレル(Bq)」で、1秒間に1つの原子核が崩壊して放射線を出す能力を1ベクレルといいます。

「放射能」の名付け親

「放射能」という言葉は、キュリー夫人(マリー・キュリー)が名付けました。ウラン鉱石から放射線が出ていることを発見し、その「放射線を出す性質」を「radioactivity(放射能)」と呼んだのが始まりです。

「放射能」を使った例文
  • この物質の放射能は半減期を過ぎると半分になる。
  • 食品の放射能検査で安全性を確認する。
  • 時間の経過とともに放射能は減衰していく。

「放射性物質」の意味と使い方

「放射性物質」は、放射能を持ち、放射線を出している物質そのものを指します。ウラン、プルトニウム、セシウム、ヨウ素などが代表的な放射性物質です。

懐中電灯のたとえでいえば、「懐中電灯本体」に相当します。放射性物質は放射線を出しながら、時間とともに別の安定した物質に変化していきます。

放射性物質は人工的に作られたものだけでなく、自然界にも存在しています。地球上の岩石や土壌、私たちの体内にも微量の放射性物質が含まれています。

代表的な放射性物質

  • ウラン – 原子力発電の燃料。半減期は約45億年
  • プルトニウム – 原子炉で生成。半減期は約2万4千年
  • セシウム137 – 原発事故で問題に。半減期は約30年
  • ヨウ素131 – 甲状腺に集まりやすい。半減期は約8日
  • カリウム40 – 自然界に存在。バナナなどに含まれる
「放射性物質」を使った例文
  • 放射性物質が漏れ出さないよう厳重に管理している。
  • 土壌に含まれる放射性物質の濃度を測定した。
  • 放射性物質は時間とともに別の物質に変化する。

語源・由来

「放射線」の語源

「放射」は「四方に放ち出す」という意味で、「線」は光線のような線状のものを指します。英語の「radiation」の訳語として明治時代に作られました。1895年にレントゲンがX線を発見したことが、放射線研究の始まりです。

「放射能」の語源

英語の「radioactivity」の訳語です。「radio-」は「放射」、「activity」は「活動性・能力」を意味します。1898年、キュリー夫人がウランの放射線を出す性質を研究する中でこの言葉を作りました。

「放射性物質」の語源

「放射性」は「放射能を持つ」という意味の形容詞で、放射能を持った物質を「放射性物質」と呼びます。英語では「radioactive material」または「radioactive substance」といいます。

半減期とは

放射性物質の放射能が半分になるまでの時間を「半減期」といいます。半減期は放射性物質の種類によって決まっており、外部からの影響で変化することはありません。

放射性物質 半減期
ヨウ素131 約8日
セシウム137 約30年
プルトニウム239 約2万4千年
ウラン238 約45億年

たとえばヨウ素131の場合、8日で放射能は半分に、16日で4分の1に、24日で8分の1になります。半減期が短い物質ほど、短期間で放射能が弱まります。

ベクレルとシーベルトの違い

放射線に関する単位として「ベクレル(Bq)」と「シーベルト(Sv)」がよく使われますが、この2つは測定する対象が異なります。

単位 ベクレル(Bq) シーベルト(Sv)
意味 放射能の強さ 人体への影響
視点 放射線を出す側 放射線を受ける側
使用例 食品中の放射性物質の量 被ばく線量

ベクレルは「放射性物質がどれだけ放射線を出しているか」、シーベルトは「人体がどれだけ放射線の影響を受けるか」を表します。同じベクレル数でも、放射性物質の種類や被ばくの仕方によって、シーベルトで表される人体への影響は異なります。

よくある質問

Q
「放射能漏れ」と「放射線漏れ」はどう違う?
A
「放射能漏れ」は放射性物質そのものが外部に漏れ出すこと、「放射線漏れ」は放射線が遮蔽物を透過して外部に出ることです。放射性物質が漏れると継続的に放射線を出し続けるため、一般的に「放射能漏れ」の方が深刻です。
Q
自然界にも放射性物質はある?
A
はい、あります。地球上の岩石や土壌、空気中、さらには私たちの体内にも微量の放射性物質が存在しています。バナナに含まれるカリウム40、花崗岩に含まれるウランなどが代表例です。私たちは常に自然放射線を浴びて生活しています。
Q
レントゲンやCTの放射線は危険?
A
医療用のX線検査で受ける放射線量は、日常生活で受ける自然放射線と比べて十分に少なく管理されています。胸部X線1回で約0.06ミリシーベルト、胸部CT1回で約7ミリシーベルト程度です。日本人が1年間に受ける自然放射線量は約2.1ミリシーベルトです。
Q
放射性物質は消えてなくなる?
A
放射性物質は放射線を出しながら、別の安定した物質に変化していきます。元の放射性物質は「消える」というより「変化する」といった方が正確です。半減期を何度も経ると、放射能はほぼゼロに近づきます。