「作る」は小規模なものや無形のものをこしらえる最も一般的な表記、「造る」は大規模なものや工業的なものをつくるとき、「創る」は新しいものを初めて生み出すときに使います。迷ったら「作る」を使えばほぼ間違いありません。
| 項目 | 作る | 造る | 創る |
|---|---|---|---|
| 基本的な意味 | こしらえる・なす | 大きなものをつくる | 新しく生み出す |
| 対象の規模 | 小規模・無形 | 大規模・有形 | 規模を問わない |
| 代表的な熟語 | 作品、作成、創作 | 製造、造船、醸造 | 創造、創業、創刊 |
| 英語 | make | build, manufacture | create |
| 使用例 | 料理を作る、詩を作る | 船を造る、酒を造る | 未来を創る、文化を創る |
「作る」の意味と使い方
「作る」は「つくる」の最も一般的な表記です。小規模なものをこしらえたり、形のないもの・抽象的なものを生み出したりするときに使います。
公用文や教科書でも「作る」が一般的な表記とされており、迷ったときは「作る」を使えば間違いありません。料理、工作、文章、規則、記録など、幅広い対象に使えます。
また、「作物」「稲作」のように農作物を育てる意味や、「作り笑い」「顔を作る」のように表情を整える意味でも使われます。
- 今夜は手料理を作るつもりだ。
- 子どもたちが紙で人形を作った。
- 新しい規則を作る必要がある。
- 彼は世界記録を作った。
- 畑で野菜を作っている。
「造る」の意味と使い方
「造る」は大規模なものや工業的なものをつくるときに使います。船、建物、自動車、道路など、設備や機械を使って製造するものが対象です。
また、酒類をつくるときは「造る」を使うのが慣例です。「醸造」「酒造」などの熟語からもわかるように、酒・ビール・味噌・醤油などの発酵食品には「造る」が使われます。
庭園や宅地など、土地を整備してつくるものにも「造る」が適しています。「造園」「造成」「造幣」などの熟語で使われます。
- この工場では自動車を造っている。
- 江戸時代に造られたお寺を訪ねた。
- 地元の蔵元で日本酒を造っている。
- 新しい住宅地を造る計画が進んでいる。
- 客船を造るのに3年かかった。
「創る」の意味と使い方
「創る」は新しいものを初めて生み出すときに使います。これまで存在しなかったものをゼロから創造する、という意味合いがあります。
「創造」「創業」「創刊」「創始」などの熟語に見られるように、「創」には「はじめて」「新しく」という意味が込められています。芸術作品や新しい文化、未来など、創造性や独創性を強調したいときに使われます。
なお、2010年(平成22年)の常用漢字表改定で「創」に「つくる」の読みが追加されました。現在は常用漢字として認められていますが、公用文では「作る」を使うのが一般的です。
- 新しい時代を創るのは若者だ。
- 彼は独自の芸術世界を創り上げた。
- 未来を創るのは私たち自身だ。
- この地域に新しい文化を創りたい。
- 神が世界を創ったと言われている。
語源・由来
「作」は「人」と「乍(サ)」を組み合わせた会意形声文字です。「乍」は刀で素材に切れ目を入れる様子を表しており、人が手を加えて何かをつくるという意味を持ちます。手作業で何かをこしらえるイメージです。
「造」は「しんにょう(辶)」と「告」を組み合わせた形声文字です。「告」は牛の角に木の枠をはめて固定する様子を表し、「くっつける」という意味があります。足の動作を表すしんにょうと合わせて、材料をくっつけ合わせて大きなものをつくる、という意味になりました。
「創」は「倉」と「刂(りっとう=刀)」を組み合わせた形声文字です。もともとは刀で切りつけてできた「傷」を意味していました。「刀で素材に切れ目を入れることは工作の最初の段階」という解釈から、「はじめてつくり出す」という意味が生まれました。「絆創膏」の「創」が「傷」を意味するのはこのためです。
迷ったときは「作る」を使おう
「作る」「造る」「創る」の使い分けに厳密なルールはありません。実際、「お作り」と「お造り」、「生け作り」と「生け造り」のように、どちらも使われる例があります。
公用文や教科書では「作る」が一般的な表記とされています。「造る」は「酒造」「造船」など慣用的な表現に使われ、「創る」は創意工夫が感じられるものに限定的に使われます。
また、「人づくり」「体力づくり」「まちづくり」のように、どちらの漢字も当てにくい場合はひらがなで「つくる」と書くのが一般的です。
英語での表現
「作る」「造る」「創る」は英語ではそれぞれ異なる単語で表現できます。
「作る」= make
最も一般的な「つくる」を表します。
- make dinner(夕食を作る)
- make a plan(計画を作る)
「造る」= build / manufacture / produce
建造や製造を表します。
- build a house(家を建てる)
- manufacture cars(自動車を製造する)
- produce beer(ビールを造る)
「創る」= create
新しく創造することを表します。
- create a new culture(新しい文化を創る)
- God created the world(神が世界を創った)
よくある質問
「お刺身」は「お作り」「お造り」どちら?
どちらも使われます。辞書や用語集によってどちらも認められており、地域や店舗によって表記が異なります。関西では「お造り」が多い傾向があります。
「酒をつくる」はなぜ「造る」?
酒類の製造は「醸造」という工業的なプロセスで、大規模な設備を使うためです。「酒造」「醸造」「造り酒屋」など、酒に関する言葉は「造」が使われる慣例があります。
「創る」は公用文で使える?
2010年の常用漢字表改定で「創」に「つくる」の読みが追加されたため、使用可能です。ただし、公用文では「作る」が一般的で、「創る」は「未来を創る」「時代を創る」など限定的に使われます。
「まちづくり」はなぜひらがな?
「まち」が市町村の「町」でも市街地の「街」でもなく、人々が暮らす地域全体を指すためです。「作」も「造」も当てにくい場合は、ひらがなで表記するのが一般的です。
「絆創膏」の「創」は「つくる」の意味?
いいえ、「傷」の意味です。「創」はもともと刀で切りつけてできた傷を意味していました。「絆創膏」は「傷をつなぎ合わせる薬」という意味です。