目次
  1. 「剣道」の意味と使い方
  2. 「剣術」の意味と使い方
  3. 語源・由来
  4. 「武術」と「武道」の違い
  5. よくある質問
結論

一言でまとめると、「剣道」は剣の修錬を通じた人間形成の道(武道)で、「剣術」は実戦で敵を倒すための刀剣の技術(武術)です。

「剣道」は竹刀と防具を使い、礼節や精神修養を重視する近代武道です。一方「剣術」は戦国時代から江戸時代にかけて発展した古武術で、木刀や真剣を用い、流派ごとの型稽古を中心に実戦的な技を伝えます。現在は「剣術」が古武道、「剣道」が現代武道として区別されています。

剣道

けんどう
近代武道(明治以降)
竹刀・防具を使った人間形成の道

剣術

けんじゅつ
古武術(戦国〜江戸時代)
刀剣を使った実戦的な戦闘技術
項目 剣道 剣術
基本的な意味 剣の理法の修錬による人間形成の道 刀剣を用いた実戦的な戦闘技術
分類 現代武道 古武道(古武術)
成立時期 明治〜大正時代に確立 戦国時代〜江戸時代に発展
主な目的 精神修養・人間形成・競技 実戦で敵を倒す戦闘技術の習得
使用する道具 竹刀・防具(面・胴・小手・垂) 木刀・模擬刀・真剣
稽古方法 打ち込み稽古・地稽古・試合 型稽古(形稽古)が中心
使用例 剣道部、剣道の段位、剣道大会 剣術の流派、剣術指南、古流剣術

「剣道」の意味と使い方

「剣道」は、竹刀と防具を用いた稽古や試合を通じて、剣の技術だけでなく心身の鍛錬と人格の完成を目指す現代武道です。全日本剣道連盟は1975年に「剣道は剣の理法の修錬による人間形成の道である」と定義しました。

現在の剣道は、面・胴・小手・突きの4箇所を有効打突とする統一ルールのもとで試合が行われます。学校の部活動や警察の訓練としても広く普及しており、段位制度によって技術水準が示されます。

「剣道」は単なる競技スポーツではなく、礼に始まり礼に終わる精神文化を大切にしています。稽古を通じて忍耐力や礼節を身につけることが重視され、「武道」としての性格を強く持っています。

「剣道」を使った例文
  • 中学から剣道を始めて、今では三段の腕前だ。
  • 警察官になるために、学生時代から剣道に打ち込んでいた。
  • 全日本剣道選手権は、日本武道館で毎年開催される。
  • 剣道では「礼に始まり礼に終わる」ことを何よりも大切にする。

「剣術」の意味と使い方

「剣術」は、日本刀をはじめとする刀剣を用いた戦闘技術の総称で、主に戦国時代から江戸時代にかけて発展した古武術です。実戦で敵を倒すことを目的として生まれた技術体系であり、「武術」に分類されます。

剣術には数百もの流派が存在したとされ、代表的なものに天真正伝香取神道流・念流・陰流の「三大源流」や、宮本武蔵の二天一流、柳生新陰流、北辰一刀流などがあります。各流派はそれぞれ独自の構え・足運び・剣の振り方を持ち、型稽古によって技術が師から弟子へと受け継がれてきました。

現在は「古武道」として日本古武道協会などの団体が伝統の保存・継承に取り組んでおり、全国各地の演武大会で技を披露する機会があります。

「剣術」を使った例文
  • 江戸時代には多くの武士が剣術の流派に入門した。
  • この道場では、400年以上の歴史を持つ古流剣術を学べる。
  • 宮本武蔵は二刀を使う独自の剣術を編み出した。
  • 時代劇では華麗な剣術の立ち回りが見どころの一つだ。

語源・由来

「剣道」と「剣術」はどちらも「剣」の字を含みますが、後半の「道」と「術」に大きな違いがあります。

「術」は技術・技法を意味し、「剣術」は文字どおり「剣の技術」です。戦国時代から江戸時代にかけて、実戦で生き残るための刀剣操法として各地で流派が生まれました。

一方「道」は、技術の先にある精神的な修養の道筋を意味します。大正時代初期に「撃剣」「剣術」に代わって「剣道」という呼称が用いられるようになり、大日本武徳会がこの名称を広めました。「術」から「道」への改称は、技術の追求だけでなく、人間としての成長を目的に据えるという理念の転換を象徴しています。

この「術」から「道」への変化は剣に限らず、「柔術→柔道」「弓術→弓道」など、日本の伝統武術全般に見られる近代化の流れです。

「武術」と「武道」の違い

「剣術」と「剣道」の違いは、そのまま「武術」と「武道」の違いに対応しています。

武術(古武道)は、鎌倉時代から戦国時代にかけて、戦場での実戦を前提に発展した戦闘技術の総称です。敗北は死に直結するため、いかに効率よく敵を倒すかが最大の関心事でした。剣術のほか、柔術・槍術・弓術・居合術なども武術に含まれます。

武道(現代武道)は、明治時代以降に武術を母体として再編された文化・教育体系です。競技としてのルールを整備し、段位制度を設け、精神修養や人間形成を目的に掲げています。剣道・柔道・弓道・合気道などが代表的な武道です。

補足

古武道は実戦を想定するため「型稽古」が中心ですが、現代武道は安全な道具を使った「試合」や「乱取り」など、対人稽古の比重が大きくなっています。

よくある質問

Q
剣道の起源は剣術ですか?
A
はい。剣道は剣術から発展した武道です。江戸時代中期に竹刀と防具が開発され、安全に打ち合う稽古法が定着したことが剣道の直接的な起源とされています。明治以降に「剣道」の名称が定着し、現代武道として体系化されました。
Q
剣道と剣術は両方習えますか?
A
それぞれ別の団体・道場で教えられていることが多いため、同時に学ぶことは可能ですが、稽古体系が異なります。剣道は全日本剣道連盟の傘下で学び、剣術は各古流の道場や日本古武道協会系の団体で学ぶのが一般的です。
Q
「剣道」と「剣術」、どちらが実戦に強い?
A
単純な比較は困難です。剣術は本来、真剣での実戦を想定した技術体系ですが、現代では実戦の機会はありません。剣道は竹刀による打突の速さや間合いの取り方に優れ、剣術は多彩な技や体さばきに特徴があります。目的や価値観が異なるため、優劣をつけるものではありません。
Q
剣術の「流派」にはどんなものがありますか?
A
代表的な流派として、天真正伝香取神道流、新陰流(柳生新陰流)、一刀流、二天一流(宮本武蔵)、北辰一刀流などがあります。江戸時代には700以上の流派が存在したとされています。現在も多くの流派が古武道として伝承されています。
佐藤文哉
この記事の監修者 佐藤文哉 編集長 / ライター歴15年