「勧める」「薦める」「奨める」はすべて「すすめる」と読みますが、意味が異なります。「勧める」は行動をするよう促す(勧誘)、「薦める」は人や物を推薦する、「奨める」は励ます・奨励するという意味です。「おすすめ」を漢字で書くときは、行動を促すなら「お勧め」、人や物を選ぶよう促すなら「お薦め」を使います。ただし「奨」の「すすめる」は常用漢字の表外読みのため、迷ったらひらがなで「おすすめ」と書くのが無難です。
| 項目 | 勧める | 薦める | 奨める |
|---|---|---|---|
| 主な意味 | 行動を促す | 人・物を推薦 | 励ます |
| 対象 | 行動・行為 | 人・物 | 行動・努力 |
| 関連熟語 | 勧誘・勧告 | 推薦・自薦 | 奨励・推奨 |
| 常用漢字 | 表外読み | ||
| 使用例 | 入会を勧める | 本を薦める | 貯蓄を奨める |
「勧める」の意味と使い方
「勧める」は、相手に何かの行動をするよう促す・誘いかけるという意味です。「勧誘」「勧告」の「勧」で、自分も一緒にやろうというニュアンスを含むこともあります。
また、食べ物や飲み物、物品などを差し出して使ってもらおうとする場合にも使います。「お茶を勧める」「椅子を勧める」などがこの用法です。
- 友人にサークルへの入会を勧めた。
- 健康のためにウォーキングを勧める。
- 来客にお茶を勧めた。
- 医師が禁煙を強く勧めている。
「薦める」の意味と使い方
「薦める」は、人や物を褒めて、採用・選択するよう説くという意味です。「推薦」「自薦・他薦」の「薦」で、複数の選択肢の中から「これがいいですよ」と特定のものを推す場面で使います。
商品やサービス、本、映画など具体的な「もの」をすすめる場合や、人を役職などに推す場合に使います。
- この本は初心者に薦めたい一冊だ。
- 彼をリーダーに薦める。
- 店員がワインを薦めてくれた。
- 友人に旅行先として京都を薦めた。
「奨める」の意味と使い方
「奨める」は、良いこととして積極的に行うよう励ますという意味です。「奨励」「推奨」の「奨」で、相手の努力や行動を後押しするニュアンスがあります。
ただし、「奨」の「すすめる」という読みは常用漢字の表外読みです。そのため、公用文や新聞では使えず、一般的な文章でも「勧める」で代用するか、ひらがなで書くことが多いです。
- 政府が省エネを奨めている。
- 若者に読書を奨める。
- 資格取得を奨める制度がある。
語源・由来
「勧」「薦」「奨」はそれぞれ異なる成り立ちを持つ漢字です。
「勧」の成り立ち
「勧」は「雚(かん)」と「力」を組み合わせた形声文字です。「力」は力強い腕を表し、「力を添えて行わせる」「働きかける」という意味が生まれました。「勧誘」「勧告」など、行動を促す熟語に使われます。
「薦」の成り立ち
「薦」は「艸(草)」と「廌(鹿の一種)」を組み合わせた会意文字です。草の上に鹿を載せて神に捧げる様子を表し、「良いものを選んで差し出す」という意味が生まれました。「推薦」「自薦」など、人や物を推す熟語に使われます。
「奨」の成り立ち
「奨」は「將(しょう)」と「大」を組み合わせた形声文字です。「將」には「手で持って助ける」という意味があり、「励まし助ける」「応援する」という意味が生まれました。「奨励」「奨学金」など、励ます・後押しする熟語に使われます。
「おすすめ」はどの漢字で書く?
「おすすめ」を漢字で書くときは、以下のように使い分けます。
| 表記 | 意味・ニュアンス | 使用例 |
|---|---|---|
| お勧め | 行動を促す 「一緒にやりましょう」 |
ジョギングがお勧めです |
| お薦め | 人・物を推薦 「これを選んでください」 |
この本がお薦めです |
| お奨め | 励ます 「頑張ってください」 |
資格取得がお奨めです |
| おすすめ | 汎用的・柔らかい | 本日のおすすめ |
実際には厳密に使い分けられていないことも多く、迷ったら「おすすめ」とひらがなで書くのが無難です。新聞や公用文でもひらがな表記が一般的です。
迷ったときの判断基準
どの漢字を使うか迷ったときは、以下の熟語に置き換えられるかで判断できます。
- 勧誘・勧告に置き換えられる → 「勧める」
- 推薦に置き換えられる → 「薦める」
- 奨励・推奨に置き換えられる → 「奨める」(または「勧める」で代用)
なお、「勧める」と「奨める」は意味が近く、辞書でも「勧める・奨める」と並記されていることがあります。「奨」が表外読みであることを考慮すると、迷った場合は「勧める」を使うのが安全です。
よくある質問
「本日のおすすめ」はどの漢字で書きますか?
料理や商品を推薦する意味なので「本日のお薦め」が適切です。ただし、飲食店のメニューなどでは「おすすめ」「オススメ」とひらがな・カタカナで書くことが一般的です。
「奨める」は使わない方がいいですか?
「奨」の「すすめる」という読みは常用漢字の表外読みのため、公用文や新聞では使えません。一般的な文章でも「勧める」で代用するか、ひらがなで書くことが多いです。
「酒を勧める」と「酒を薦める」の違いは?
「酒を勧める」は相手に酒を飲むよう促すこと、「酒を薦める」は複数の飲み物の中から酒を選ぶよう推すことです。宴席で「まあ一杯」と促す場面では「勧める」、「何を飲みますか?」と聞かれて「日本酒がいいですよ」と答える場面では「薦める」を使います。
「侑める」という漢字もありますか?
あります。「侑める」は「そばにいて食事などをすすめる」という意味で、接待・もてなしのニュアンスがあります。ただし常用漢字外で、現代ではほとんど使われない古風な表現です。