目次
  1. 「ダークマター」の意味と特徴
  2. 「ダークエネルギー」の意味と特徴
  3. 語源・由来
  4. 宇宙の組成
  5. よくある質問
結論

「ダークマター」は電磁を出さないが重力を持つ未知の物質で、銀河や銀河団の形成に関っています。「ダークエネルギー」は宇宙全体に広がり、宇宙の膨張を加速させている謎のエネルギーです。ダークマターは「引力」として物質を引き寄せ、ダークエネルギーは「斥力」として宇宙を押し広げるという、正反対の働きをしています。

ダークマター

だーくまたー
見えないが重力を持つ物質
宇宙の約27%を占める

ダークエネルギー

だーくえねるぎー
宇宙の膨張を加速させる力
宇宙の約68%を占める
項目 ダークマター ダークエネルギー
日本語名 暗黒物質 暗黒エネルギー
宇宙に占める割合 約27% 約68%
分類 物質 エネルギー
分布 銀河・銀河団の周りに塊で存在 宇宙全体に均等に分布
働き 引力(重力)として物質を引き寄せる 斥力として宇宙を押し広げる
宇宙への影響 銀河・銀河団の形成を促進 宇宙の膨張を加速
提唱年 1933年 1998年

「ダークマター」の意味と特徴

「ダークマター(暗黒物質)」は、電磁波(光、電波、X線など)を出さないため直接観測できませんが、重力を持つ未知の物質です。宇宙全体の質量・エネルギーの約27%を占めると推定されています。

ダークマターは銀河や銀河団の周りに「ハロー」と呼ばれる球状の塊として存在し、その重力によって銀河の構造を支えています。もしダークマターがなければ、銀河の回転速度では星々がバラバラに飛び散ってしまうはずです。

ダークマターの発見

1933年、スイスの天文学者フリッツ・ツビッキーは、かみのけ座銀河団を観測していて、銀河の動きを説明するには目に見える物質だけでは質量が足りないことに気づきました。彼は「見えない物質」の存在を提唱し、これが「ダークマター」と呼ばれるようになりました。

1970年代には、アメリカの天文学者ヴェラ・ルービンがアンドロメダ銀河の観測で、銀河の外縁部でも回転速度が落ちないという現象を発見。これはダークマターの存在を裏付ける重要な証拠となりました。

ダークマターの正体候補

ダークマターの正体はまだ解明されていませんが、現在有力視されているのは「未知の素粒子」です。

  • WIMP(ウィンプ):弱い相互作用をする質量のある粒子
  • ニュートラリーノ:超対称性理論で予言される素粒子
  • アクシオン:非常に軽い仮想粒子
  • 原始ブラックホール:宇宙初期に形成された小さなブラックホール
「ダークマター」を使った例文
  • 銀河の回転速度を説明するにダークマターの存在を仮定する必要がある。
  • ダークマターの重力によって、宇宙の大規模構造が形成されたと考えられている。
  • 世界中の研究施設でダークマターの直接検出実験が進められている。

「ダークエネルギー」の意味と特徴

「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」は、宇宙全体に均等に広がり、宇宙の膨張を加速させている謎のエネルギーです。宇宙全体の質量・エネルギーの約68%を占め、ダークマターよりもさらに大きな割合を占めています。

ダークエネルギーは「負の圧力」を持ち、重力とは逆向きの「斥力」として働きます。この力によって、宇宙の膨張はブレーキがかかるどころか、どんどん加速しているのです。

ダークエネルギーの発見

1998年、遠方の超新星(Ia型超新星)を観測していた2つの研究チームが、驚くべき発見をしました。超新星が予想よりも暗く見える、つまり予想よりも遠くにあることがわかったのです。

これは宇宙の膨張が加速していることを意味しました。従来の理論では、宇宙に存在する物質の重力によって膨張は減速していくはずでした。この加速膨張を引き起こしている未知のエネルギーが「ダークエネルギー」と名づけられました。

この発見により、ソール・パールマッター、ブライアン・シュミット、アダム・リースの3人は2011年にノーベル物理学賞を受賞しています。

ダークエネルギーの正体候補

ダークエネルギーの正体も解明されていませんが、いくつかの仮説があります。

  • 宇宙定数:アインシュタインが一般相対性理論に導入した定数。真空のエネルギー密度を表す
  • クインテッセンス:時間とともに変化する動的なエネルギー場
  • 修正重力理論:重力の法則自体が宇宙スケールでは異なるという考え
「ダークエネルギー」を使った例文
  • ダークエネルギーの作用により、宇宙の膨張は加速し続けている。
  • 宇宙の7割はダークエネルギーが占めていると考えられている。
  • ダークエネルギーの正体解明は、現代物理学最大の謎の一つである。

語源・由来

「ダークマター」の語源

「ダークマター」は英語の「dark matter」を音訳したもので、日本語では「暗黒物質」と訳されます。「dark」は「暗い」「見えない」、「matter」は「物質」を意味します。

光や電磁波を発しないため「見えない」という意味で「ダーク(暗い)」と名づけられました。「暗黒」という言葉には不気味なイメージがありますが、実際には透明で、私たちの体も地球もすり抜けていく性質を持つと考えられています。

「ダークエネルギー」の語源

「ダークエネルギー」は英語の「dark energy」を音訳したもので、日本語では「暗黒エネルギー」と訳されます。

この名称は、1998年にアメリカの宇宙論研究者マイケル・ターナーが命名したとされています。先に提唱されていた「ダークマター」になぞらえて、正体不明のエネルギーに「ダーク」という言葉が使われました。

宇宙の組成

現在の観測(2013年のプランク衛星のデータ)によると、宇宙の質量・エネルギーの組成は以下のようになっています。

成分 割合 説明
ダークエネルギー 約68% 宇宙の膨張を加速
ダークマター 約27% 見えないが重力を持つ物質
通常の物質 約5% 原子、星、惑星、人間など

驚くべきことに、私たちが知っている原子や星、惑星、人間などの「通常の物質」は、宇宙全体のわずか約5%にすぎません。宇宙の約95%は、正体不明のダークマターとダークエネルギーで占められているのです。

よくある質問

Q
ダークマターとダークエネルギー、名前が似ているのはなぜ?
A
どちらも直接観測できない「見えない(ダーク=暗い)」存在だからです。先に提唱されたダークマター(1933年)になぞらえて、後から発見されたエネルギー(1998年)にも「ダーク」という言葉が使われました。ただし、両者は全く異なる性質を持っています。
Q
ダークマターとダークエネルギーは関係がある?
A
現在の標準的な宇宙モデルでは、両者は別々の存在として扱われています。ダークマターは「物質」で引力を持ち、ダークエネルギーは「エネルギー」で斥力を持つという、正反対の性質があります。ただし、両者を統一的に説明しようとする理論も研究されています。
Q
「暗黒物質」と「暗黒エネルギー」という日本語訳は正しい?
A
英語の「dark」を「暗黒」と訳したものですが、不気味なイメージを与えるため、カタカナで「ダークマター」「ダークエネルギー」と呼ぶことも多いです。「見えない」「正体不明」という意味であり、「邪悪な」という意味はありません。
Q
ダークマターは地球にも存在する?
A
理論上は、私たちの身の回りにも1リットルあたり約1個程度のダークマター粒子が存在すると考えられています。ただし、ダークマターは通常の物質とほとんど相互作用しないため、検出は極めて困難です。