目次
  1. 「光年」の意味と使い方
  2. 「天文単位」の意味と使い方
  3. 「パーセク」の意味と使い方
  4. 語源・由来
  5. 単位の換算
  6. 使い分けのポイント
  7. よくある質問
結論

「光年」は光が1年間に進む距離(9.46兆km)、「天文単位」は地球と太陽の平均距離(約1.5億km)、「パーセク」は年周視差が1秒角になる距離(約3.26光年)です。太陽系内の距離には「天文単位」、恒星間の距離には「光年」や「パーセク」が使われます。一般向けには「光年」、天文学の専門分野では「パーセク」が標準的に用いられます。

光年

こうねん
光が1年間に進む距離
約9.46兆km

天文単位

てんもんたんい
地球と太陽の平均距離
約1.5億km

パーセク

ぱーせく
年周視差が1秒角の距離
約3.26光年
項目 光年 天文単位 パーセク
記号 ly au(AU) pc
定義 光が1年間に進む距離 地球と太陽の平均距離 年周視差が1秒角になる距離
キロメートル換算 約9兆4600億km 約1億5000万km 約30兆8600億km
主な用途 恒星・銀河までの距離 太陽系内の距離 恒星・銀河までの距離
使用場面 一般向け解説・科学番組 惑星・探査機の位置 学術論文・天文学研究

「光年」の意味と使い方

「光年」は、光が真空中を1年間に進む距離を表す単位です。光の速度は秒速約30万km(正確には299,792,458 m/s)で、これを1年間分(365.25日)に換算すると、約9兆4600億kmになります。

「年」という字が入っていますが、時間ではなく距離の単位です。「光が1年かかって届く距離」という意味で、宇宙の広大さを直感的に伝えられる点が特徴です。

たとえば「10光年先の星」と言えば、「その星から発した光が地球に届くまで10年かかる」ことを意味します。つまり、私たちが今見ている星の姿は10年前の姿ということになります。

「光年」を使った例文
  • 太陽系に最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリ、約4.2光年の距離にある。
  • 天の川銀河の直径は約10万光年と推定されている。
  • アンドロメダ銀河は地球から約250万光年離れた場所にある。

「天文単位」の意味と使い方

「天文単位」は、地球と太陽の平均距離を基準とした単位です。2012年に国際天文学連合(IAU)により、正確に149,597,870,700メートル(約1億5000万km)と定義されました。

主に太陽系内の天体の位置を表すときに使われます。地球から太陽までの距離を1とすることで、他の惑星がどれだけ遠いかを直感的に把握できます。

太陽系の惑星と天文単位

  • 水星:約0.39天文単位
  • 金星:約0.72天文単位
  • 火星:約1.52天文単位
  • 木星:約5.2天文単位
  • 土星:約9.5天文単位
  • 海王星:約30天文単位
「天文単位」を使った例文
  • 火星は太陽から約1.52天文単位の距離を公転している。
  • 太陽系の外縁に広がるオールトの雲は、数万天文単位に及ぶと考えられている。
  • 探査機ボイジャー1号は、地球から150天文単位以上離れた宇宙空間を飛行している。

「パーセク」の意味と使い方

「パーセク」は、年周視差が1秒角(1度の3600分の1)になる距離を表す単位です。1パーセクは約3.26光年、約30兆8600億kmに相当します。

年周視差とは、地球が太陽の周りを公転することで、遠くの星の見える位置がわずかにずれる現象です。このずれが1秒角になる距離を1パーセクと定義しています。天文学では、この視差を測定することで星までの距離を計算できるため、パーセクは非常に実用的な単位です。

一般向けの解説では「光年」が使われることが多いですが、天文学の学術論文や研究では「パーセク」が標準的に用いられます。

「パーセク」を使った例文
  • シリウスは地球から約2.6パーセクの距離にある。
  • アンドロメダ銀河までの距離は約770キロパーセク(kpc)である。
  • 銀河の絶対等級は、10パーセクの距離に置いたときの見かけの明るさで定義される。

語源・由来

「光年」の語源

「光年」は英語の「light year」、ドイツ語の「Lichtjahr」を訳した言葉です。1851年にドイツの作家オットー・ウレが、天文学の普及記事の中で初めてこの単位を使用しました。

それ以前にも、ドイツの天文学者フリードリヒ・ベッセルが「光が1年間に進む距離」という表現を用いていましたが、正式な単位として定着させたのはウレの功績とされています。

「天文単位」の語源

「天文単位」は英語で「astronomical unit」といい、「天文学の単位」という意味です。地球と太陽の距離を基準とする考え方は古くからありましたが、正式な単位として確立されたのは20世紀に入ってからです。

記号は2014年以降「au」(小文字)が国際標準となりましたが、それ以前は「AU」や「a.u.」なども使われていました。

「パーセク」の語源

「パーセク」は英語の「parsec」に由来し、「parallax(視差)」と「arcsecond(秒角)」を組み合わせた造語です。1913年にイギリスの天文学者ハーバート・ホール・ターナーがこの名称を使い始めました。

なお、「per second(毎秒)」の略という説明を見かけることがありますが、これは誤りです。

単位の換算

3つの単位は以下のように換算できます。

基準 光年 天文単位 パーセク
1光年 1 約63,241 約0.307
1天文単位 約0.0000158 1 約0.00000485
1パーセク 約3.26 約206,265 1

覚えておくと便利な換算は、1パーセク ≒ 3.26光年です。この関係は、光の速度と地球の公転半径がたまたま現在の値だったために生じた偶然の数値です。

使い分けのポイント

3つの単位は、扱う距離のスケールに応じて使い分けられます。

  • 太陽系内(惑星・探査機など)→「天文単位」
  • 恒星・銀河(一般向け解説)→「光年」
  • 恒星・銀河(学術・専門分野)→「パーセク」

宇宙は非常に広大なため、キロメートルで表すと桁数が膨大になってしまいます。そのため、スケールに応じた単位を使い分けることで、距離を直感的に把握しやすくしているのです。

よくある質問

Q
「光年」は時間の単位ではないのですか?
A
いいえ、「光年」は距離の単位です。「年」という字が入っているため時間と誤解されやすいですが、「光が1年間に進む距離」を表しています。約9兆4600億kmに相当します。
Q
天文学者が「光年」ではなく「パーセク」を使う理由は?
A
パーセクは年周視差の測定から直接距離を計算できる単位だからです。視差がp秒角なら、距離は1/pパーセクと簡単に求められます。観測データから距離を導き出すのに便利なため、学術分野では標準的に使われています。
Q
「天文単位」の記号は「AU」と「au」どちらが正しい?
A
2014年以降の国際標準では小文字の「au」が正式な記号です。ただし、それ以前の文献や一般向けの解説では「AU」や「A.U.」も使われており、現在も混在しています。
Q
1光年と1パーセクはどちらが長い?
A
1パーセクの方が長いです。1パーセクは約3.26光年に相当します。逆に言えば、1光年は約0.307パーセクです。