「逮捕」は被疑者の身柄を拘束する法的手続き、「検挙」は被疑者を特定して捜査対象にすること、「摘発」は犯罪や不正を発見して公表することです。逮捕は法律用語ですが、検挙・摘発は法律用語ではありません。意味の範囲は「逮捕<検挙<摘発」の順に広くなります。
| 項目 | 逮捕 | 検挙 | 摘発 |
|---|---|---|---|
| 法律用語か | はい | いいえ(警察用語) | いいえ(一般用語) |
| 身柄拘束 | 必ず伴う | 必ずしも伴わない | 関係ない |
| 意味の範囲 | 狭い | 中程度 | 広い |
| 主な主体 | 警察・検察 | 警察 | 警察・報道・市民など |
| 重点 | 身柄の拘束 | 捜査の開始 | 発覚・公表 |
「逮捕」の意味と使い方
「逮捕」は、犯罪の被疑者の身柄を拘束する強制処分です。刑事訴訟法に定められた正式な法律用語で、厳格な要件のもとで行われます。
逮捕が認められるのは、「逃亡のおそれ」または「証拠隠滅のおそれ」がある場合に限られます。罪を犯した疑いがあっても、これらのおそれがなければ逮捕はできず、在宅のまま捜査が進められます。
逮捕には「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」の3種類があります。通常逮捕には裁判官が発行する逮捕状が必要です。
- 容疑者は窃盗の疑いで逮捕された。
- 警察は逮捕状を請求し、裁判所の許可を得た。
- 目撃者の通報により、犯人は現行犯逮捕された。
「検挙」の意味と使い方
「検挙」は、警察が犯罪の被疑者を特定し、捜査の対象とすることです。法律用語ではなく、主に警察内部で使われる用語です。
検挙の範囲は逮捕より広く、身柄を拘束する場合だけでなく、在宅のまま任意で取り調べを行う場合も含みます。つまり、「検挙」は「逮捕」を含む上位概念といえます。
警察の統計で「検挙件数」「検挙人員」「検挙率」という言葉が使われますが、これには逮捕された人も、逮捕されずに書類送検された人も含まれています。
「摘発」の意味と使い方
「摘発」は、犯罪や不正行為を発見して世間に公表することです。法律用語ではなく、一般的に使われる言葉です。
「摘発」は3語の中で最も意味の範囲が広く、必ずしも逮捕や検挙を伴いません。違法行為を発見して報道したり、不正を暴いて公表したりすることも「摘発」に含まれます。
報道では「違法風俗店を摘発」「闇バイトグループを摘発」のように、組織や店舗に対して使われることが多いです。
- 警察は違法カジノ店を摘発した。
- 国税局が脱税企業を摘発した。
- 内部告発により、会社の不正が摘発された。
3語の関係を図で理解する
逮捕・検挙・摘発の関係は、以下のように整理できます。
意味の範囲の違い
3語の意味の範囲を図で表すと、入れ子構造になっています。
- 摘発(最も広い):犯罪・不正の発覚・公表全般
- 検挙(中程度):被疑者を特定して捜査対象にすること
- 逮捕(最も狭い):被疑者の身柄を拘束すること
具体例で比較
「違法風俗店」を例にとると、以下のような使い分けになります。
- 摘発:違法風俗店の存在が発覚し、公表された
- 検挙:経営者が被疑者として特定され、捜査が始まった
- 逮捕:経営者の身柄が拘束され、留置場に収容された
ニュースでの使い分け
報道では、事件の段階や内容に応じて3語が使い分けられています。
「逮捕」が使われる場面
個人の被疑者が身柄を拘束された場合に使われます。「○○容疑で逮捕」という表現が典型的です。
「検挙」が使われる場面
複数の被疑者をまとめて捜査対象にした場合や、警察の統計・発表で使われます。「振り込め詐欺グループを検挙」などの表現があります。
「摘発」が使われる場面
組織的な犯罪や違法な店舗・施設を対象にする場合に多く使われます。「違法カジノを摘発」「闇営業店を摘発」などの表現があります。
語源・由来
「逮捕」は「逮(追いつく・とらえる)」と「捕(つかまえる)」を組み合わせた言葉です。逃げる者を追いかけて捕らえるという意味から、被疑者の身柄を拘束することを指すようになりました。
「検挙」は「検(しらべる)」と「挙(あげる・とりあげる)」を組み合わせた言葉です。犯人を調べ上げて取り上げる、という意味から、被疑者を特定して捜査対象にすることを指すようになりました。
「摘発」は「摘(つまむ・あばく)」と「発(あらわす)」を組み合わせた言葉です。隠れた悪事をつまみ出して明らかにする、という意味から、犯罪や不正を発見して公表することを指すようになりました。
よくある質問
検挙されたら必ず逮捕されますか?
いいえ、必ずしも逮捕されるわけではありません。逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合は逮捕されますが、そのおそれがなければ在宅のまま捜査が進められます。統計上、検挙された人の約6〜7割は逮捕されていません。
「摘発」されたら前科がつきますか?
摘発されただけでは前科はつきません。前科がつくのは、起訴されて裁判で有罪判決が確定した場合です。摘発は犯罪の発覚・公表を意味するだけで、その後の刑事手続きとは別の問題です。
「摘発」と「告発」の違いは何ですか?
「摘発」は犯罪や不正を発見して公表すること、「告発」は犯罪を捜査機関に申告する法的手続きです。告発は刑事訴訟法に定められた正式な手続きで、被害者以外の第三者が行います。
3語のうち、法律用語はどれですか?
法律用語は「逮捕」だけです。「検挙」は主に警察内部で使われる用語で、「摘発」は一般的に使われる言葉です。いずれも刑事訴訟法などの法律には出てきません。