すべて貴族の位(爵位)を表す言葉で、公爵が最高位、男爵が最下位です。序列は「公爵>侯爵>伯爵>子爵>男爵」の順。古代中国の周王朝に由来し、日本では明治時代の華族制度で使われました。現在は西洋貴族の称号の訳語として使われています。
| 項目 | 公爵 | 侯爵 | 伯爵 | 子爵 | 男爵 |
|---|---|---|---|---|---|
| 序列 | 第1位(最高) | 第2位 | 第3位 | 第4位 | 第5位(最低) |
| 英語 | Duke | Marquess | Earl / Count | Viscount | Baron |
| 漢字の意味 | 公正・正直 | 矢を射る・辺境を守る | 長・首長 | 小首領 | 任務を担う |
| 日本の華族(例) | 旧皇族、旧摂家 | 旧清華家、大藩主 | 旧大納言家、中藩主 | 旧堂上家、小藩主 | 維新功労者、実業家 |
「公爵」の意味と使い方
「公爵」は五等爵の最高位にあたる爵位です。英語では「Duke(デューク)」、女性形は「Duchess(ダッチェス)」となります。
「公」という漢字には「公正」「正直」「私心がない」という意味があります。万民のために公正に政治を行う者にふさわしい称号とされました。
日本の華族制度では、旧皇族や旧五摂家(近衛・九条・二条・一条・鷹司)、そして国家への特別な功績者が公爵に叙せられました。伊藤博文や大山巌などがこれにあたります。
- ウェリントン公爵はナポレオンを破った英雄として知られる。
- 近衛家は公爵の爵位を持つ名門だった。
- イギリス王室では、王子が結婚すると公爵位を授けられることが多い。
「侯爵」の意味と使い方
「侯爵」は五等爵の第2位にあたる爵位です。英語では「Marquess(マーキス)」または「Marquis」となります。
「侯」という漢字は、もともと矢を射る的(まと)を意味し、転じて辺境を守る武将を指すようになりました。古代中国では、国境警備を担う重要な役職でした。
日本の華族制度では、旧清華家(大臣家)や15万石以上の大藩の旧藩主などが侯爵に叙せられました。薩摩藩の島津家や長州藩の毛利家がこれにあたります。
- 島津家は薩摩藩主として侯爵に叙せられた。
- 侯爵夫人は社交界の花形だった。
- 彼は侯爵家の次男として生まれた。
「伯爵」の意味と使い方
「伯爵」は五等爵の第3位にあたる爵位です。英語では「Earl(アール)」または「Count(カウント)」となります。Earlはイギリス固有の称号で、Countは大陸ヨーロッパで使われます。
「伯」という漢字には「長」「首長」「年長者」という意味があります。「伯父」の「伯」と同じ字で、一族や集団の長を表します。
日本の華族制度では、旧大納言家や5万石以上の中藩の旧藩主などが伯爵に叙せられました。大隈重信や板垣退助など、維新の功労者も多く含まれます。
- ドラキュラ伯爵は有名な吸血鬼キャラクターだ。
- モンテ・クリスト伯爵は復讐劇の傑作として知られる。
- 彼女は伯爵令嬢として厳格なしつけを受けた。
「子爵」の意味と使い方
「子爵」は五等爵の第4位にあたる爵位です。英語では「Viscount(ヴァイカウント)」となります。Viscountは「Vice-Count(副伯爵)」が語源で、もともと伯爵の補佐役でした。
「子」という漢字は、古代中国で小規模な部族の首領を指していました。「公侯伯子男」の中では比較的小さな領地を治める者に与えられた称号です。
日本の華族制度では、旧堂上家(公家)や5万石未満の小藩の旧藩主などが子爵に叙せられました。
- 彼は子爵家の跡取りとして育てられた。
- 子爵の称号は世襲で受け継がれた。
- その子爵は政界でも影響力を持っていた。
「男爵」の意味と使い方
「男爵」は五等爵の第5位、つまり最下位にあたる爵位です。英語では「Baron(バロン)」となります。
「男」という漢字には「任務を担う」「力仕事をする」という意味があります。王から任務を与えられて領地を治める者を指しました。
日本の華族制度では、維新の功労者や実業家、学者などが男爵に叙せられました。渋沢栄一や岩崎弥太郎など、近代日本の発展に貢献した人物が多く含まれます。「男爵いも」の名は、この品種を日本に紹介した川田龍吉男爵に由来します。
- 渋沢栄一は実業界の功績により男爵に叙せられた。
- 男爵いもはホクホクした食感が特徴だ。
- お笑いコンビ「髭男爵」はワイングラスのネタで人気を博した。
語源・由来
「公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵」の五等爵は、古代中国の周王朝(紀元前11世紀頃)に由来します。
周王朝では、天子(王)が諸侯に領地を与えて統治させる「封建制度」を採用していました。このとき、諸侯の格を示すために「公・侯・伯・子・男」の五つの等級が設けられたとされています。
日本では、明治17年(1884年)に「華族令」が制定され、この五等爵が採用されました。旧公家や旧大名、維新の功労者などが華族に列せられ、それぞれの家格や功績に応じて爵位が与えられました。
なお、西洋の貴族制度(Duke、Marquess、Earl、Viscount、Baron)の訳語としてもこの五等爵が使われていますが、西洋と中国・日本の爵位制度にはもともと関係がありません。たまたま五段階という点で共通していたため、翻訳時に対応させたものです。
覚え方のコツ
五等爵の序列は「公侯伯子男(こうこうはくしだん)」と覚えましょう。語呂合わせで「コウコウハクシダン」と唱えれば順番を忘れません。
また、読み方で迷いやすい「公爵」と「侯爵」はどちらも「こうしゃく」ですが、漢字で書き分ける必要があります。「公」は「公正」の公、「侯」は「諸侯」の侯と覚えておくとよいでしょう。
日本の華族制度
日本で五等爵が使われたのは、明治17年(1884年)から昭和22年(1947年)までの約63年間です。
華族制度では、以下のような基準で爵位が授けられました。
- 公爵:旧皇族、旧五摂家、国家への特別功労者
- 侯爵:旧清華家、15万石以上の旧藩主、維新の元勲
- 伯爵:旧大納言家、5万石以上の旧藩主、維新功労者
- 子爵:旧堂上家、5万石未満の旧藩主
- 男爵:維新功労者、実業家、学者など
第二次世界大戦後、日本国憲法の施行により華族制度は廃止され、すべての爵位は消滅しました。
よくある質問
「公爵」と「侯爵」の読み方はどちらも「こうしゃく」?
はい、どちらも「こうしゃく」と読みます。漢字で区別する必要があり、「公爵」は「公正」の公、「侯爵」は「諸侯」の侯を使います。
日本に今も爵位は存在する?
いいえ、日本では1947年の日本国憲法施行により華族制度が廃止され、すべての爵位は消滅しました。現在、日本に爵位制度はありません。
「伯爵」の英語がEarlとCountの2つあるのはなぜ?
Earlはイギリス固有の称号で、古英語で「高貴な人」を意味します。Countは大陸ヨーロッパで使われる称号です。イギリスでは女性形として「Countess(カウンテス)」が使われます。
「男爵いも」の名前の由来は?
「男爵いも」は、この品種を日本に紹介した川田龍吉男爵にちなんで名付けられました。彼は函館ドック(造船会社)の専務で、イギリスから持ち帰ったじゃがいもを北海道で栽培しました。