目次
  1. 「押印」の意味と使い方
  2. 「捺印」の意味と使い方
  3. 「押捺」の意味と使い方
  4. 語源・由来
  5. 法的効力の違い
  6. ビジネスでの使い分け
  7. よくある質問
結論

「押印」は「記名押印」の略で、印刷やゴム印など自筆以外の名前に印鑑を押すこと。「捺印」は「署名捺印」の略で、自筆の署名に印鑑を押すこと。「押捺」は主に指紋を押す場面で使われる言葉です。ビジネス文書では「押印」が最も一般的で、重要な契約書では「捺印」を使います。

押印

おういん
記名押印の略
印刷された名前+印鑑

捺印

なついん
署名捺印の略
自筆の署名+印鑑

押捺

おうなつ
印や指紋を押すこと
主に指紋押捺で使用
項目 押印 捺印 押捺
正式名称 記名押印 署名捺印
名前の記載方法 印刷・ゴム印・代筆など 自筆(署名)
押すもの 印鑑 印鑑 印鑑または指紋
常用漢字 (捺が常用漢字外) (捺が常用漢字外)
法的効力
使用場面 一般的なビジネス文書 重要な契約書 指紋押捺(入国管理など)

「押印」の意味と使い方

「押印」「記名押印」の略語です。印刷やゴム印、代筆など、自筆以外の方法で記された名前(記名)に印鑑を押すことを指します。

また、名前の有無に関らず、純粋に印鑑を押す行為そのものを「押印」と呼ぶこともあります。現在のビジネスシーンでは、この広い意味で使われることが多いです。

「押」も「印」も常用漢字であるため、公文書や法律文書で使われる標準的な表記です。現行の民事訴訟法でも「押印」という用語が採用されています。

「押印」を使った例文
  • 書類の末尾に押印をお願いします。
  • 書に押印して返送してください。
  • この欄にご押印ください。
  • 押印のない書類は受理できません。

「捺印」の意味と使い方

「捺印」は「署名捺印」の略語です。本人が自筆で書いた名前(署名)に印鑑を押すことを指します。

署名は筆跡鑑定により本人確認ができるため、記名よりも証拠能力が高くなります。そのため、署名と印鑑を組み合わせた「捺印」は最も法的効力が高いとされています。

「捺」は常用漢字外のため、公文書では「押印」が使われますが、契約書など重要な書類では今でも「ご署名・ご捺印ください」という表現が使われます。

「捺印」を使った例文
  • 契約書にご署名・ご捺印をお願いいたします。
  • こちらの欄にご捺印ください。
  • 捺印が不鮮明なため、再度お願いできますか。
  • 重要書類には必ず捺印が必要です。

「押捺」の意味と使い方

「押捺」は印章や指紋を押して印影を得ることを意味します。「押」も「捺」も「おす」という意味を持つ漢字です。

印鑑を押す場合にも使えますが、現代では主に「指紋押捺」という形で使われることがほとんどです。指紋押捺とは、本人確認のために指紋を押すことで、入国管理などの行政手続きで用いられます。

ビジネス文書で「押捺」という言葉を使う機会はほとんどありません。印鑑を押す場合は「押印」または「捺印」を使いましょう。

「押捺」を使った例文
  • 入国審査で指紋の押捺を求められた。
  • 外国人登録の押捺制度は2000年に廃止された。
  • 書類に印鑑を押捺する。

語源・由来

「押」は「手で力を加えておす」という意味の漢字です。「押印」は印鑑を押しつける動作を表します。

「捺」も同様に「おす」「おさえる」という意味を持ちます。もともと「捺印」という言葉が使われていましたが、「捺」が常用漢字に含まれなかったため、法律用語として「押印」が採用されるようになりました。

民事訴訟法326条では「署名又ハ捺印アルトキ」と規定されていましたが、現行の民事訴訟法228条4項では「署名又は押印があるとき」と改められています。

日本でハンコ文化が普及したのは、署名(サイン)よりも偽造されにくいこと、識字率が低かった時代の名残、紙での処理が簡便であることなどが理由とされています。1900年(明治33年)に施行された法律で、記名押印が署名の代わりになることが定められ、現在のハンコ文化につながっています。

法的効力の違い

「署名」「記名」「押印」「捺印」の組み合わせによって、書類の法的効力(証拠能力)が異なります。民事訴訟法228条4項では「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」と規定されています。

法的効力の高い順に並べると、以下のようになります。

順位 組み合わせ 法的効力
1位 署名+捺印(署名捺印) 最も高い
2位 署名のみ 高い
3位 記名+押印(記名押印) 中程度
4位 記名のみ なし

署名は筆跡鑑定により本人確認ができ、印鑑は印影鑑定により本人確認ができます。両方を組み合わせた「署名捺印」が最も証拠能力が高くなるのはこのためです。

ビジネスでの使い分け

ビジネスシーンでの使い分けは以下のとおりです。

「押印」を使う場面

  • 一般的なビジネス文書(見積書、請求書、稟議書など)
  • 印刷された名前に印鑑を押す場合
  • 公文書や行政手続き
  • 相手に印鑑を押してもらうよう依頼する場合(「ご押印ください」)

「捺印」を使う場面

  • 重要な契約書(不動産売買、融資契約など)
  • 自筆の署名と印鑑を求める場合(「ご署名・ご捺印ください」)
  • 法的効力を高めたい書類

「押捺」を使う場面

  • 指紋を押す場面(入国管理など)
  • ビジネス文書ではほぼ使用しない

迷ったときは、常用漢字である「押印」を使えば問題ありません。

よくある質問

Q
「ご押印ください」と「ご捺印ください」どちらが正しい?
A
どちらも正しいですが、使い分けがあります。印刷された名前に印鑑を押す場合は「ご押印ください」、自筆の署名に印鑑を押す場合は「ご署名・ご捺印ください」が適切です。迷ったら「ご押印ください」が無難です。
Q
契約書には押印と捺印どちらが必要?
A
法律上、契約は口頭でも成立するため、押印・捺印は必須ではありません。ただし、証拠能力を高めるため、重要な契約書では署名+捺印(署名捺印)を行うのが一般的です。
Q
「押捺」はビジネス文書で使ってもいい?
A
間違いではありませんが、一般的ではありません。「押捺」は主に指紋を押す場面で使われる言葉です。ビジネス文書で印鑑を押す場合は「押印」または「捺印」を使いましょう。
Q
電子契約では押印・捺印は不要?
A
電子契約では、電子署名法に基づく電子署名が押印・捺印の代わりになります。適切な電子署名を使用すれば、紙の契約書と同等の法的効力を持たせることができます。
Q
「調印」との違いは?
A
「調印」は条約や重要な契約を締結する際に、署名や押印を行うことを指します。国同士の取り決めや、社長同士が協定を結ぶ場面などで使われる、よりフォーマルな表現です。