目次
  1. 「怒る」の意味と使い方
  2. 「叱る」の意味と使い方
  3. 語源・由来
  4. 使い分けのポイント
  5. よくある質問
結論

「怒る」は自分の感情を表に出す行為で、腹を立てて不満や不快を示すことです。「叱る」は相手のためを思い、良くない点を指摘して改善を促す行為です。「怒る」は自分本位、「叱る」は相手本位という違いがあります。ただし日常会話では「先生に怒られた」のように、「怒る」を「叱る」と同じ意味で使うこともあります。

怒る

おこる
自分の感情を発散
腹を立てて不満を表す

叱る

しかる
相手の成長のため
良くない点を指摘し戒める
項目 怒る 叱る
基本的な意味 腹を立てて感情を表す 良くない点を指摘し戒める
目的 自分の感情を発散させる 相手の成長・改善を促す
対象 誰に対しても使える 主に目下の者に対して
使用例 彼が怒った、怒りを覚える 子どもを叱る、部下を叱る

「怒る」の意味と使い方

「怒る」は、不満や不快なことがあって我慢できない気持ちを表に出すことです。イライラした感情を抑えられず、表情や態度、言葉に出す状態を指します。

「怒る」の特徴は、自分の感情が中心にあることです。何かに腹を立て、その気持ちを外に発散させる行為が「怒る」です。対象は特に限定されず、誰に対しても使えます。

なお、日常会話では「先生に怒られた」「親に怒られた」のように、「叱る」と同じ意味で「怒る」を使うこともよくあります。これは「怒る」に「よくない言動をとがめる」という意味もあるためです。

「怒る」を使った例文
  • 約束を破られて、彼女真っ赤になって怒った
  • 宿題を忘れて、先生に怒られた
  • 彼は温厚な性格で、めったに怒ることがない。

「叱る」の意味と使い方

「叱る」は、目下の者の言動について良くない点を指摘し、強くとがめて戒めることです。相手の成長や改善を願って行う行為であり、自分の感情を発散させることが目的ではありません。

「叱る」は基本的に立場が上の者が下の者に対して使います。親が子どもに、教師が生徒に、上司が部下に対して使う言葉です。そのため「上司を叱る」「先輩を叱る」という表現は通常使いません。

「叱る」は他動詞としてのみ使われ、必ず「〜を叱る」のように対象が必要です。一方「怒る」は「彼が怒った」のように自動詞としても使えます。

「叱る」を使った例文
  • 危ないことをした子どもを、母親がきちんと叱った
  • 先生に叱られて、自分の過ちに気づいた。
  • ただ叱るだけでなく、理由を説明することも大切だ。

語源・由来

「怒る」は「起こる」と同語源とされています。「感情が高まる」「気持ちが起こる」という意味から、腹を立てることを表すようになりました。

漢字の「怒」は、心を表す「忄(りっしんべん)」と「奴」を組み合わせた形です。心の中に激しい感情が湧き上がる様子を表しています。

一方、「叱る」の漢字「叱」は、「口」と「七」を組み合わせた形です。「七」には「切る」という意味があり、口で鋭く切り込むように注意するという意味が込められています。

「叱る」は平安時代の『落窪物語』にも用例が見られる古い言葉で、目上の者が目下の者を戒めるという意味は当時から変わっていません。

使い分けのポイント

「怒る」と「叱る」の使い分けで最も重要なのは、その行為が「誰のためか」という点です。自分の感情を発散させたいなら「怒る」、相手の成長を願って注意するなら「叱る」が適切です。

また、文法的な違いも重要です。「怒る」は自動詞としても他動詞としても使えますが、「叱る」は他動詞のみです。「彼が怒った」とは言えますが、「彼が叱った」だけでは不自然で、「彼が子どもを叱った」のように対象が必要です。

なお、「怒る」と「叱る」の違いがよく話題になるのは、「感情的に怒るのではなく、相手のことを思って叱ることが大切だ」という文脈です。日常会話ではどちらも「注意する」という意味で使われますが、言葉の本来の意味を知っておくと、場面に応じた使い分けができます。

よくある質問

Q
「先生に怒られた」と「先生に叱られた」の違いは?
A
意味はほぼ同じで、どちらも「先生に注意された」という意味で使えます。厳密には「叱られた」の方が「自分のために注意してくれた」というニュアンスがありますが、日常会話ではどちらを使っても問題ありません。
Q
「おこる」と「いかる」の違いは?
A
どちらも「怒る」と書きますが、「いかる」の方がより激しい怒りを表します。「おこる」は日常的な場面で、「いかる」は文学的・荘重な表現で使われる傾向があります。
Q
「怒る」は自動詞?他動詞?
A
「怒る」は自動詞としても他動詞としても使えます。「彼が怒った」(自動詞)、「子どもを怒る」(他動詞)のどちらも正しい用法です。一方、「叱る」は「子どもを叱る」のように他動詞としてのみ使います。
Q
「叱る」は目上の人に使える?
A
「叱る」は基本的に目下の者に対して使う言葉です。「上司を叱る」「先輩を叱る」とは言いません。目上の人に意見する場合は「諫める(いさめる)」「意見する」などの表現を使います。