目次
  1. 「前科」の意味と影響
  2. 「前歴」の意味と影響
  3. 刑事手続きの流れと前科・前歴
  4. 記録はどこに残る?
  5. 前科は消える?効力の消滅とは
  6. 履歴書にはどう書く?
  7. よくある質問
結論

「前科」は裁判で有罪判決を受けた経歴、「前歴」は捜査機関に犯罪の嫌疑をかけられ捜査対象になった経歴です。逮捕されても不起訴になれば前科はつきませんが、前歴は残ります。前科は就職や資格取得に影響することがありますが、前歴は法的な不利益がほとんどありません。

前科

ぜんか
有罪判決を受けた経歴
就職・資格に影響あり

前歴

ぜんれき
捜査対象になった経歴
法的な不利益は少ない
項目 前科 前歴
定義 有罪判決を受けた経歴 捜査対象になった経歴
つくタイミング 裁判で有罪判決が確定したとき 捜査機関の捜査対象になったとき
不起訴の場合 つかない つく
犯罪人名簿 記載される 記載されない
履歴書の賞罰欄 記載義務あり 記載義務なし
就職・資格への影響 制限を受けることがある 基本的に影響なし
記録が消えるか 効力は一定期間で消滅 死亡するまで消えない

「前科」の意味と影響

「前科」と裁判で有罪判決を受けた経歴のことです。懲役刑や禁錮刑だけでなく、罰金刑であっても前科になります。また、執行猶予付きの判決でも前科はつきます。

なお、「前科」は法律で明確に定義された用語ではなく、一般的に使われている通称です。

前科がつく刑罰の種類

  • 死刑
  • 懲役刑・禁錮刑(拘禁刑)
  • 罰金刑
  • 拘留・科料
  • 刑の免除・執行免除

前科がつくことによる影響

  • 就職:履歴書の賞罰欄への記載義務、一部の職業に就けない
  • 資格:弁護士、医師、教員など一部の資格が取得できない・取り消される
  • 選挙権:一定期間、選挙での投票や立候補ができない
  • 海外渡航:ビザが発給されない、入国を拒否される場合がある
  • 再犯時:量刑が重くなる可能性がある
「前科」を使った例文
  • 前科があると一部の資格が取得できない。
  • 起訴になれば前科はつかない。
  • 前科は履歴書の賞罰欄に記載する義務がある。

「前歴」の意味と影響

「前歴」とは、捜査機関に犯罪の嫌疑をかけられ、捜査の対象になった経歴のことです。逮捕されたが不起訴になった場合、書類送検されたが起訴されなかった場合などに前歴がつきます。

「前歴」も「前科」と同様、法律で明確に定義された用語ではありません。

前歴がつくケース

  • 逮捕されたが不起訴になった
  • 書類送検されたが起訴されなかった
  • 微罪処分として警察で処理された
  • 起訴されたが無罪判決を受けた

前歴がつくことによる影響

  • 就職:履歴書の賞罰欄への記載義務なし
  • 資格:基本的に影響なし
  • 海外渡航:基本的に影響なし
  • 再犯時:処分を決める際に考慮される可能性がある

前歴は前科と比べて法的な不利益はほとんどありませんが、捜査機関の記録には残り続けます。そのため、再び犯罪を犯した場合、前歴があることが処分の判断に影響する可能性があります。

「前歴」を使った例文
  • 不起訴になったので前歴だけが残った。
  • 前歴は履歴書に書く必要はない。
  • 前歴があっても資格取得には影響しない。

刑事手続きの流れと前科・前歴

前科と前歴がどのタイミングでつくのか、刑事手続きの流れで確認しましょう。

1. 捜査の開始

警察が犯罪の嫌疑をかけて捜査を開始した時点で、前歴がつきます。逮捕されなくても、任意の取り調べを受けただけでも前歴になります。

2. 逮捕・勾留

逮捕されても、この段階ではまだ前科はつきません。前歴のみです。

3. 検察による処分

  • 不起訴:前科はつかない(前歴のみ)
  • 起訴:裁判へ

4. 裁判

  • 無罪判決:前科はつかない(前歴のみ)
  • 有罪判決前科がつく

日本の刑事裁判では、起訴されると99%が有罪になります。そのため、前科を避けるためには不起訴を獲得することが重要です。

記録はどこに残る?

前科と前歴は、それぞれ異なる場所に記録が残ります。

前科の記録

  • 検察庁:前科調書(本人が死亡するまで保管)
  • 市区町村:犯罪人名簿(一定期間経過後に削除)
  • 裁判所:判決記録

前歴の記録

  • 警察庁:前歴簿
  • 検察庁:犯歴記録

いずれの記録も厳重に管理されており、一般の人が閲覧することはできません。本人であっても、警察や検察に照会して前科・前歴を確認することはできません。

前科は消える?効力の消滅とは

前科の記録自体は生涯消えることはありませんが、「刑の言い渡しの効力」は一定期間で消滅します。効力が消滅すると、犯罪人名簿から削除され、資格取得の制限がなくなります。

刑の言い渡しの効力が消滅する期間

  • 執行猶予付き判決:執行猶予期間を無事経過したとき(刑法27条)
  • 拘禁刑(懲役・禁錮):刑の執行を終えてから10年間、罰金以上の刑に処せられなかったとき(刑法34条の2)
  • 罰金以下の刑:刑の執行を終えてから5年間、罰金以上の刑に処せられなかったとき(刑法34条の2)

一方、前歴は本人が死亡するまで消えません。ただし、前歴は法的な不利益がほとんどないため、実生活への影響は限定的です。

履歴書にはどう書く?

就職活動で気になるのが、履歴書の賞罰欄への記載です。

前科がある場合

履歴書に賞罰欄がある場合、前科は記載する義務があります。「罰」とは有罪判決を受けたことを指すため、前科を隠すと経歴詐称になる可能性があります。

前歴がある場合

履歴書に賞罰欄があっても、前歴は記載する義務がありません。裁判例上、「罰」とは有罪判決を指すとされており、前歴は「罰」に該当しないためです。

なお、賞罰欄のない履歴書を使う場合は、前科・前歴ともに記載する必要はありません。

よくある質問

Q
逮捕されたら前科がつく?
A
いいえ。逮捕されただけでは前科はつきません。前科がつくのは、裁判で有罪判決が確定したときです。逮捕されても不起訴になれば前科はつかず、前歴のみが残ります。
Q
罰金刑でも前科になる?
A
はい。罰金刑も有罪判決の一種なので、前科になります。また、執行猶予付きの判決でも前科はつきます。
Q
前科や前歴は他人に調べられる?
A
基本的にはできません。前科・前歴の記録は厳重に管理されており、一般の人や企業がアクセスすることはできません。ただし、実名報道されていた場合、インターネット検索で発覚する可能性はあります。
Q
前歴があると海外旅行できない?
A
前歴だけであれば、海外旅行に影響はありません。前科がある場合は、一定の条件に該当するとパスポートが発給されなかったり、渡航先でビザが発給されない・入国を拒否される可能性があります。
Q
前科を消すことはできる?
A
前科の記録自体を消すことはできませんが、一定期間が経過すると「刑の言い渡しの効力」が消滅し、犯罪人名簿から削除されます。これにより、資格取得の制限などがなくなります。