目次
  1. 「窃盗」の意味と使い方
  2. 「強盗」の意味と使い方
  3. 刑罰の違い
  4. 「事後強盗」に注意
  5. 暴行・脅迫の程度による違い
  6. よくある質問
結論

「窃盗」は暴行や脅迫を用いずに他人の物を盗む犯罪で、刑罰10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。「強盗」は暴行や脅迫を用いて物を奪う犯罪で、刑罰は5年以上の有期拘禁刑と非常に重くなります。万引きでも、逃げる際に店員を突き飛ばすと「強盗」になる可能性があります。

窃盗

せっとう
暴行・脅迫なしで盗む
10年以下の拘禁刑/50万円以下の罰金

強盗

ごうとう
暴行・脅迫を用いて奪う
5年以上の有期拘禁刑
項目 窃盗 強盗
暴行・脅迫 なし あり
行為 窃取(こっそり盗む) 強取(力ずくで奪う)
刑罰 10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 5年以上の有期拘禁刑
罰金刑 あり なし
執行猶予 つく可能性あり 原則つかない
具体例 万引き、空き巣、スリ 銀行強盗、ひったくり(暴行あり)

「窃盗」の意味と使い方

「窃盗」とは、暴行や脅迫を用いずに、他人の財物をこっそり盗む犯罪です。刑法235条に規定されています。

刑法235条(窃盗)

「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。」

「窃取」とは、占有者の意思に反して、その財物を自分の支配下に移すことです。ポイントは「こっそり」「気づかれないように」盗むという点です。

窃盗に該当する行為の例

  • 万引き:店の商品を無断で持ち去る
  • 空き巣:留守宅に侵入して金品を盗む
  • スリ:電車内などで財布を抜き取る
  • 置引き:置き忘れた物を持ち去る
  • 車上荒らし:駐車中の車から物を盗む
「窃盗」を使った例文
  • スーパーで食料品を窃盗した疑いで逮捕された。
  • 窃盗罪の時効は7年である。
  • 初犯の窃盗で示談が成立し、不起訴となった。

「強盗」の意味と使い方

「強盗」とは、暴行または脅迫を用いて、他人の財物を奪い取る犯罪です。刑法236条に規定されています。

刑法236条(強盗)

「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期拘禁刑に処する。」

強盗罪における「暴行・脅迫」は、相手の反抗を抑圧する程度のものが必要です。軽く押しのける程度では足りず、相手が抵抗できないほどの強い暴行・脅迫が求められます。

強盗に該当する行為の例

  • 銀行強盗:凶器で脅して金を奪う
  • コンビニ強盗:店員を脅して金を出させる
  • 路上強盗:通行人を殴って財布を奪う
  • ひったくり(暴行を伴う場合)
「強盗」を使った例文
  • コンビニに刃物を持った男が押し入り、強盗事件が発生した。
  • 強盗罪は5年以上の重い刑罰が科される。
  • 強盗致傷で起訴され、実刑判決を受けた。

刑罰の違い

窃盗と強盗では、刑罰の重さが大きく異なります

窃盗罪の刑罰

  • 10年以下の拘禁刑(実務上は1〜2年程度が多い)
  • または50万円以下の罰金
  • 初犯で被害額が少なければ執行猶予がつくことも多い

強盗罪の刑罰

  • 5年以上の有期拘禁刑(上限20年)
  • 罰金刑はない
  • 原則として執行猶予がつかない(実刑)

執行猶予がつくのは「3年以下の拘禁刑」の場合です。強盗罪は最低でも5年以上なので、原則として実刑(刑務所行き)となります。

強盗に関連する重い犯罪

  • 強盗致傷罪:強盗の際に人を負傷させた場合、無期または6年以上の拘禁刑
  • 強盗致死罪:強盗の際に人を死亡させた場合、死刑または無期拘禁刑
  • 強盗殺人罪:強盗の際に殺意を持って人を殺した場合、死刑または無期拘禁刑

「事後強盗」に注意

窃盗犯が逃走中に暴行・脅迫を加えると、「事後強盗罪」として強盗と同じ扱いになります(刑法238条)。

事後強盗が成立する場面

  • 財物を取り返されるのを防ぐため
  • 逮捕を免れるため
  • 罪証を隠滅するため

具体例

万引き(窃盗)をした後、追いかけてきた店員を突き飛ばして逃げた場合、単なる窃盗ではなく事後強盗として、5年以上の拘禁刑が科される可能性があります。

「たかが万引き」と軽く考えていても、逃げる際の行動次第で人生を大きく左右する重罪になりうるのです。

暴行・脅迫の程度による違い

強盗罪が成立するには、暴行・脅迫が「相手の反抗を抑圧する程度」でなければなりません。

強盗になる例

  • ナイフを突きつけて「金を出せ」と脅す
  • 相手を殴って動けなくしてから財布を奪う
  • 首を絞めて抵抗できなくしてから奪う

窃盗+暴行になる例

  • 軽く押しのけて逃げた(反抗を抑圧する程度ではない)

ただし、実務上は被害者が抵抗できなかったかどうかで判断されるため、軽い暴行でも強盗と認定されるケースがあります。

よくある質問

Q
ひったくりは窃盗?強盗?
A
ひったくりは基本的に窃盗罪ですが、被害者を転倒させるなど暴行を伴う場合は強盗罪となる可能性があります。バイクでひったくる際に被害者を引きずった場合などは強盗として扱われます。
Q
万引きで店員を押しのけたら強盗になる?
A
逃走するために店員を突き飛ばしたり暴行を加えたりすると、「事後強盗」として強盗罪と同じ刑罰(5年以上の拘禁刑)が科される可能性があります。万引きが一瞬で重罪に変わります。
Q
強盗罪に執行猶予はつかない?
A
強盗罪の法定刑は「5年以上」のため、原則として執行猶予はつきません。ただし、酌量減軽により刑が3年以下になれば、執行猶予がつく可能性はあります。
Q
窃盗罪の時効は?
A
窃盗罪の公訴時効は7年です。強盗罪は10年、強盗致傷は15年、強盗致死・強盗殺人には時効がありません。
Q
「強取」と「窃取」の違いは?
A
「窃取」はこっそり盗むこと、「強取」は暴行・脅迫を用いて力ずくで奪うことです。この行為の違いが窃盗罪と強盗罪を分ける最大のポイントです。