目次
  1. 「いただく」の意味と使い方
  2. 「くださる」の意味と使い方
  3. 視点の違いを理解しよう
  4. 使い分けのポイント
  5. 間違いやすいケース
  6. ビジネスメールでの使い分け
  7. よくある質問
結論

「いただく」は「もらう」の謙譲語で、自分をへりくだって表現します。「くださる」は「くれる」の尊敬語で、相手の行為を高めて表現します。どちらも感謝を伝える場面で使えますが、「いただく」は自分が頼んだ場合、「くださる」は相手の意思による場合に使うのが自然です。

いただく

いただく
「もらう」の謙譲語
自分をへりくだる

くださる

くださる
「くれる」の尊敬語
相手を高める
項目 いただく くださる
敬語の種類 謙譲語 尊敬語
元の言葉 もらう くれる
視点 受け取る側(自分) 渡す側(相手)
敬意の向き 自分をへりくだる 相手を高める
よく使う場面 自分が依頼した場合 相手の意思による場合

「いただく」の意味と使い方

「いただく」「もらう」の謙譲語です。自分が受け取る立場であることを、へりくだって表現します。

謙譲語は自分の行為を低めることで、間接的に相手への敬意を表す敬語です。「いただく」を使うことで、相手から恩恵を受けたことへの感謝と恐縮の気持ちを伝えられます。

「いただく」の主な意味

  • 「もらう」の謙譲語
  • 「食べる」「飲む」の謙譲語
  • 補助動詞として「〜してもらう」の意味

特に、自分から頼んで何かをしてもらった場合には「いただく」を使うのが自然です。

「いただく」を使った例文
  • お忙しいところご確認いただき、ありがとうございます。
  • 先日はお時間をいただき、誠にありがとうございました。
  • 資料をお送りいただけますでしょうか。
  • ご指導いただいたおかげで、成長できました。

「くださる」の意味と使い方

「くださる」は、「くれる」の尊敬語です。相手が何かを与えてくれる行為を、敬意を込めて表現します。

尊敬語は相手の行為を高めて表現する敬語です。「くださる」を使うことで、相手の行為そのものに敬意を示すことができます。

「くださる」の主な意味

  • 「くれる」の尊敬語
  • 「与える」の尊敬語
  • 補助動詞として「〜してくれる」の意味

特に、相手の意思で自発的に何かをしてくれた場合には「くださる」を使うのが自然です。

「くださる」を使った例文
  • わざざお越しくださり、ありがとうございます。
  • 先生がアドバイスをくださいました
  • 社長が直接ご連絡くださった
  • 貴重なお時間をくださり、感謝いたします。

視点の違いを理解しよう

「いただく」と「くださる」の最大の違いは、物事を見る視点です。

「いただく」の視点

受け取る側(自分)から見ています。「私がもらう」という自分の行為に焦点を当てた表現です。

「くださる」の視点

渡す側(相手)から見ています。「あなたがくれる」という相手の行為に焦点を当てた表現です。

同じ状況を2つの視点で表現すると

  • 「(私が)資料をお送りいただいた」← 自分視点
  • 「(あなたが)資料をお送りくださった」← 相手視点

どちらも「相手が資料を送ってくれた」という同じ事実を表していますが、視点が異なります。

使い分けのポイント

「いただく」と「くださる」は、多くの場面でどちらを使っても正しい敬語です。しかし、場面によっては一方がより自然に感じられることがあります。

「いただく」が自然な場面

  • 自分から依頼・お願いした場合
  • 恩恵を受けたことを強調したい場合
  • 恐縮の気持ちを込めたい場合

例:「お忙しいところ無理を申しまして、ご対応いただきありがとうございます」

「くださる」が自然な場面

  • 相手が自発的に行動してくれた場合
  • 相手の厚意を称えたい場合
  • 相手の行為そのものに敬意を示したい場合

例:「悪天候の中、わざわざお越しくださりありがとうございます」

間違いやすいケース

敬語の使い方で間違いやすいケースを確認しましょう。

【間違い1】相手の行為に「いただく」を使う

  • どうぞこちらの資料をいただいてください
  • どうぞこちらの資料をお受け取りください

「いただく」は謙譲語なので、相手の行為には使えません。

【間違い2】主語と敬語が合っていない

  • 部長から資料をくださった
  • 部長が資料をくださった

「くださる」は相手が主語になります。「から」ではなく「が」を使いましょう。

【間違い3】「させていただく」の乱用

  • ご連絡させていただきます(許可を得ていない場合)
  • ご連絡いたします

「させていただく」は相手の許可を得て、自分が恩恵を受ける場合に使います。

ビジネスメールでの使い分け

ビジネスメールでよく使う表現を「いただく」「くださる」それぞれで紹介します。

お礼を伝えるとき

  • ご確認いただきありがとうございます
  • ご確認くださりありがとうございます

依頼するとき

  • ご検討いただけますと幸いです
  • ご検討くださいますようお願いいたします

来社・来店のお礼

  • ご来社いただき誠にありがとうございました
  • ご来社くださり誠にありがとうございました

近年は「いただく」を使う傾向が強まっていますが、相手の自発的な行為には「くださる」を使うと、より適切で丁寧な印象を与えられます。

よくある質問

Q
「ご来店いただき」と「ご来店くださり」、どちらが正しい?
A
どちらも正しい敬語です。「いただき」は恩恵を受けたことへの感謝、「くださり」は相手の行為への敬意を強調します。文化審議会の見解でも、どちらも適切な敬語としています。
Q
「いただく」と「頂く」、漢字とひらがなの使い分けは?
A
「もらう」「食べる」「飲む」の意味で使う場合は漢字の「頂く」、補助動詞(〜していただく)として使う場合はひらがなの「いただく」が原則です。ビジネス文書では公用文の原則に従い、補助動詞はひらがなで書くのが無難です。
Q
「いただく」と「くださる」、どちらが丁寧?
A
敬意の度合いはほぼ同じです。ただし、相手の行為を直接高める「くださる」の方が、より相手を立てる表現と感じる人もいます。場面に応じて使い分けましょう。
Q
なぜ最近は「いただく」ばかり使われるの?
A
「いただく」には恩恵を受けたことへの恐縮や感謝の気持ちが込められるため、謙虚な印象を与えやすいからです。ただし、相手の自発的な行為には「くださる」を使う方が適切な場合もあります。
Q
「賜る(たまわる)」との違いは?
A
「賜る」は「いただく」よりもさらに丁寧な表現で、格式高い場面で使われます。「ご出席賜りますよう」「ご高配を賜り」など、フォーマルな文書や式典の案内などで使用されます。