「思う」は頭で考えること全般に使える基本的な表記です。「想う」は特定の人や物事を心に浮かべ、深い感情を込めて思い続ける場合に使います。ただし「想う」は常用漢字表の表外読みのため、公用文や新聞では「思う」に統一されています。ラブレターや手紙など感情を込めたい場面では「想う」を使うと、気持ちがより伝わります。
| 項目 | 思う | 想う |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 頭や心で考える全般 | 心に浮かべて感情を込める |
| ニュアンス | 論理的・理性的 | 情緒的・感情的 |
| 常用漢字 | (正式な読み) | (表外読み) |
| 公用文・新聞 | 使用される | 使用されない |
| 適した場面 | ビジネス、日常会話、公的文書 | 恋愛、手紙、詩、歌詞 |
「思う」の意味と使い方
「思う」は、頭や心で考えること全般に使える最も基本的な表記です。論理的に考える場合も、感情的に感じる場合も、すべて「思う」で表現できます。
「思う」には幅広い意味があります。
1. 考える・判断する:〜だと思う、大丈夫だと思う
2. 意図・希望を持つ:行こうと思う、やってみようと思う
3. 感じる・感情を抱く:嬉しく思う、残念に思う
4. 心配する・気にかける:親を思う、故郷を思う
5. 回想する:あの頃を思う、昔を思う
「思」という漢字は、「田」(頭脳を表す)と「心」を組み合わせた形で、頭と心の両方で考えるという意味を持っています。
常用漢字表において「思」の訓読みは「おも-う」と定められており、公用文・新聞・NHKでは「思う」が使われます。
- 明日は晴れると思う。
- 来週から運動を始めようと思う。
- お会いできて嬉しく思います。
- 思う存分楽しんでください。
- あの頃のことを思うと懐かしい。
「想う」の意味と使い方
「想う」は、特定の人や物事を心に浮かべ、深い感情を込めて思い続ける場合に使われます。「想像」「回想」「感想」などの熟語に使われる「想」は、心の中でイメージを描くというニュアンスを持っています。
「想う」が使われる主な場面は以下の通りです。
1. 恋愛感情を表す:あなたを想う、君を想い続ける
2. 大切な人を思い浮かべる:家族を想う、亡き人を想う
3. 故郷や思い出を懐かしむ:故郷を想う、あの日を想う
4. 願いや祈りを込める:幸せを想う、未来を想う
ただし、「想う」は常用漢字表の表外読みです。「想」は常用漢字ですが、常用漢字表で認められている読み方は「ソウ」「ソ」のみ。「おもう」という訓読みは載っていません。
そのため、公用文・新聞・NHKでは「想う」ではなく「思う」が使われます。しかし、日常の文章やラブレター、詩、歌詞などで「想う」を使うことは問題ありません。むしろ、感情を込めたい場面では「想う」を使うことで、より深い気持ちを表現できます。
- 離れていても、いつもあなたのことを想っています。
- 故郷を想うと涙が出そうになる。
- 亡くなった祖母のことを想った。
- この想いが届きますように。
- 君への想いは変わらない。
恋愛・手紙での使い分け
恋愛シーンや手紙では、「想う」を使うことで特別な感情を表現できます。
「思う」を使う場合
「あなたのことが好きだと思う」「付き合いたいと思う」のように、考えや意見を伝えるニュアンスになります。やや理性的・客観的な印象を与えます。
「想う」を使う場合
「あなたのことを想っています」「ずっと想い続けていました」のように、心の中で相手を思い浮かべているというニュアンスになります。より情熱的・感情的な印象を与えます。
ラブレターや手紙での例
「あなたのことを想うと、胸が苦しくなります」
→ 相手を心に浮かべ、恋しく思っている様子が伝わる
「この想いを伝えたくて、手紙を書きました」
→ 深い感情を込めた気持ちが伝わる
「いつも想っています」
→ 「いつも思っています」より、心を込めて相手を思い浮かべている印象
ただし、「想う」を多用しすぎると重たい印象になることもあります。ここぞという場面で効果的に使うのがおすすめです。
「思い」と「想い」の違い
名詞形の「思い」と「想い」にも同様の違いがあります。
「思い」を使う場面
- 思いがけない出来事
- 思い出
- 思い切って挑戦する
- 思いのほか簡単だった
- 思いやりのある人
「想い」を使う場面
- あなたへの想い
- 熱い想いを込めて
- 想いを伝える
- 想いが届く
- 片想い
「思い出」「思いがけない」「思いやり」などの慣用的な表現は「思い」を使うのが一般的です。一方、恋愛感情や深い感情を表す場合は「想い」を使うことで、より情緒的な表現になります。
その他の「おもう」を表す漢字
「おもう」と読む漢字は他にもあります。いずれも常用漢字表の表外読みですが、文学作品などで見かけることがあります。
懐う(おもう)
懐かしく思う、なつかしむという意味。「懐古」「懐郷」の「懐」です。
例:故郷を懐う
憶う(おもう)
記憶に留めて思う、思い出すという意味。「記憶」「追憶」の「憶」です。
例:亡き友を憶う
念う(おもう)
心に留めて忘れない、念じるという意味。「念願」「祈念」の「念」です。
例:成功を念う
これらはかなり文学的な表現で、日常ではあまり使われません。一般的には「思う」または「想う」を使えば十分です。
迷ったときは「思う」を使おう
「思う」と「想う」の使い分けに迷ったときは、「思う」を使えば間違いありません。
理由は以下の通りです。
- 「思う」は常用漢字表の正式な読みで、あらゆる場面で使える
- 公用文、新聞、NHKでも「思う」で統一されている
- 「思う」で意味が伝わらないことはない
「想う」は、ラブレター、手紙、詩、歌詞など、感情を込めたい場面で使うのがおすすめです。ビジネスメールや公的な文章では「思う」を使いましょう。
なお、「想う」は近代以降の文学作品から盛んに使われるようになった表現で、日本語の歴史から見ると「思う」の方が圧倒的に長く使われてきました。
よくある質問
「あなたを思う」と「あなたを想う」の違いは?
「あなたを思う」は一般的な表現で、相手のことを考えているという意味。「あなたを想う」は、心の中で相手を思い浮かべ、恋しく思っているという、より深い感情を表します。恋愛の場面では「想う」の方がロマンチックな印象を与えます。
「想う」は間違い?
間違いではありません。「想う」は常用漢字表の表外読み(正式に認められた読み方ではない)ですが、日常の文章で使うことは問題ありません。ただし、学校のテストや公用文では「思う」を使うのが無難です。
「片思い」と「片想い」どちらが正しい?
どちらも使われますが、恋愛感情を強調したい場合は「片想い」がよく使われます。常用漢字の観点からは「片思い」が正式ですが、小説や歌詞では「片想い」も多く見られます。
ビジネスメールでは「思う」と「想う」どちらを使う?
ビジネスメールでは「思う」を使いましょう。「想う」は感情的なニュアンスが強いため、公的な文章やビジネスシーンには適しません。「ご検討いただければと思います」のように「思う」を使うのが一般的です。
「思い出」は「想い出」と書いてもいい?
一般的には「思い出」と書きます。「思い出」は慣用的な表現として定着しており、辞書でも「思い出」が見出し語になっています。ただし、詩や歌詞などで情緒的な表現をしたい場合は「想い出」と書くこともあります。