一言でまとめると、「オリンピック」は全選手対象、「パラリンピック」は身体・知的障害者対象、「デフリンピック」は聴覚障害者対象の国際スポーツ大会です。
いずれも4年に1度開催される国際総合競技大会ですが、主催団体・参加資格・競技運営の方法が異なります。パラリンピックはオリンピック直後に同じ都市で開催されますが、デフリンピックはオリンピックとは別の時期・都市で独自に開催されます。
| 項目 | オリンピック | パラリンピック | デフリンピック |
|---|---|---|---|
| 基本的な意味 | 世界最大の総合スポーツ大会 | 身体・視覚・知的障害者の国際スポーツ大会 | 聴覚障害者の国際スポーツ大会 |
| 対象選手 | 障害の有無を問わず全選手 | 身体障害・視覚障害・知的障害(一部競技) | 聴覚障害(55デシベル以上の聴力損失) |
| 主催団体 | 国際オリンピック委員会(IOC) | 国際パラリンピック委員会(IPC) | 国際ろう者スポーツ委員会(ICSD) |
| 第1回開催 | 1896年(アテネ) | 1960年(ローマ) | 1924年(パリ) |
| 開催時期 | 独自の日程 | オリンピック直後・同都市 | オリンピックとは別の時期・都市 |
| 使用例 | 東京オリンピック、五輪 | 東京パラリンピック、パラ五輪 | 東京2025デフリンピック |
「オリンピック」の意味と使い方
「オリンピック」は、国際オリンピック委員会(IOC)が主催する世界最大の国際総合スポーツ大会です。4年に1度、夏季大会と冬季大会が交互に開催されます。日本語では「五輪」とも呼ばれます。
その起源は紀元前776年にまで遡る古代ギリシャの「オリュンピア大祭」にあります。古代オリンピックは約1200年にわたり開催されましたが、ローマ帝国のキリスト教国教化によって終焉を迎えました。その後、1896年にフランスのクーベルタン男爵の提唱により、ギリシャのアテネで近代オリンピックとして復活しています。
オリンピックは単なるスポーツの祭典ではなく、「スポーツを通じて平和な世界の実現に貢献する」というオリンピズムの理念に基づいた祭典です。2024年にはパリで夏季大会が開催されました。
- 2024年のパリオリンピックでは、日本選手団が多くのメダルを獲得した。
- あの選手はオリンピック出場を目標に毎日練習を重ねている。
- 近代オリンピックはクーベルタン男爵の提唱によって始まった。
「パラリンピック」の意味と使い方
「パラリンピック」は、国際パラリンピック委員会(IPC)が主催する、身体障害・視覚障害・知的障害のある選手を対象とした国際スポーツ大会です。オリンピック終了後に同じ都市で開催されます。
その起源は1948年、イギリスのストーク・マンデビル病院で行われたアーチェリーの競技会にあります。第二次世界大戦で脊髄を損傷した兵士のリハビリテーションの一環として開催されたこの大会が、のちに国際大会へと発展しました。1960年のローマ大会が第1回パラリンピックとされています。
注意すべき点として、パラリンピックには聴覚障害者の競技種目がありません。これは、かつて国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)がIPCに加盟していたものの、1995年に独自路線を追求するために離脱した経緯によるものです。
障害の種類や程度に応じた「クラス分け」が行われ、クラスごとにメダルが授与される仕組みが特徴的です。車いすバスケットボールやボッチャなど、パラリンピック独自の競技もあります。
- 東京2020パラリンピックは、コロナ禍の中で開催された。
- パラリンピックでは、障害の種類や程度によってクラス分けが行われる。
- 車いすテニスはパラリンピックの人気競技のひとつだ。
「デフリンピック」の意味と使い方
「デフリンピック」は、国際ろう者スポーツ委員会(ICSD)が主催する、聴覚障害のある選手を対象とした国際スポーツ大会です。「Deaf(デフ=耳がきこえない)」と「オリンピック」を組み合わせた造語で、「ろう者のオリンピック」とも呼ばれます。
実はデフリンピックはパラリンピックよりも歴史が古く、第1回大会は1924年にフランスのパリで開催されました。当時は「国際サイレント大会」と呼ばれ、自身もろう者であったフランス人のユジェーヌ・リュバン=アルケが主導しました。
競技ルールはオリンピックとほぼ同じですが、音による合図をフラッシュランプや旗に置き換えるなど、視覚的な情報保障が行われる点が大きな特徴です。また、公平性のために競技中は補聴器や人工内耳の使用が禁止されます。大会運営は国際手話によって行われます。
2025年11月には東京で第25回夏季大会が開催されました。日本初開催であり、デフリンピック100周年の記念大会として注目を集めました。21競技が実施され、約80の国・地域から選手が参加しています。
- 2025年、日本初のデフリンピックが東京で開催された。
- デフリンピックでは、スタートの合図にフラッシュランプが使われる。
- デフリンピックは1924年に始まり、パラリンピックよりも歴史が古い。
語源・由来
「オリンピック」は、古代ギリシャの都市「オリンピア」が語源です。紀元前776年から約1200年にわたり、オリンピアで4年に1度開催された「オリュンピア大祭」がその起源であり、都市名に「〜的な」を意味する「-ic」がついて「Olympic」となりました。日本語の「五輪」は、シンボルマークの5つの輪と「オリン(ピック)」の発音が似ていることから考案された俗称です。
「パラリンピック」は、もともと下半身不随を意味する「Paraplegia」と「Olympic」を組み合わせた造語でした。しかし、1985年以降、半身不随以外の障害者も参加するようになったことから、「Parallel(平行・もうひとつの)」と「Olympic」の組み合わせ、すなわち「もうひとつのオリンピック」と解釈されるようになりました。
「デフリンピック」は、英語で「耳がきこえない」を意味する「Deaf」と「Olympics」を組み合わせた造語です。ろう者によるろう者のためのオリンピックという意味が込められています。
3つの大会が分かれている理由
パラリンピックとデフリンピックが統合されず、別々に開催されている背景には、歴史的な経緯と理念の違いがあります。
パラリンピックは1948年にリハビリテーションの一環として始まりました。一方、デフリンピックはそれより20年以上前の1924年に、ろう者同士の交流と記録の追求を目的として始まっています。
1989年にIPCが発足した際、ICSDも加盟していましたが、1995年に方向性の違いから離脱しました。デフリンピックでは「すべてのコミュニケーションを国際手話で行い、音声合図を視覚的に置き換える以外はオリンピックと同じルールで競技する」という独自性を重視しており、障害の程度によるクラス分けを行うパラリンピックとは運営の考え方が根本的に異なるためです。
聴覚障害は「目に見えない障害」とも呼ばれ、外見からは分かりにくいという特性があります。チームメイトの声がけが聞こえない、ボールの打球音が分からないなど、競技上のハンデもあり、きこえない選手同士が同じ条件で競い合うことに大きな意義があるとされています。
よくある質問
聴覚障害のある選手はパラリンピックに出場できる?
現在、パラリンピックには聴覚障害者の競技種目がないため、出場できません。聴覚障害のある選手はデフリンピックに出場します。ただし、聴覚障害があってもオリンピックには出場可能で、過去にはオリンピックでメダルを獲得した聴覚障害のある選手もいます。
デフリンピックとパラリンピック、歴史が古いのはどちら?
デフリンピックの方が古く、第1回は1924年にパリで開催されました。パラリンピックの第1回は1960年のローマ大会です。デフリンピックはパラリンピックよりも36年早く始まっています。
デフリンピックの競技ルールはオリンピックと違う?
基本的な競技ルールはオリンピックと同じです。異なるのは、スタートの合図にフラッシュランプを使ったり、審判が旗で合図を送ったりする点です。また、競技中は補聴器や人工内耳の使用が禁止され、全選手がきこえない状態で公平に競技します。
「パラ」は何の略?
当初は「Paraplegia(下半身不随)」の略でしたが、現在は「Parallel(平行・もうひとつの)」の略と解釈されています。つまり「もうひとつのオリンピック」という意味です。