目次
  1. 「起こす」の意味と使い方
  2. 「興す」の意味と使い方
  3. 語源・由来
  4. 「事業をおこす」はどちらを使う?
  5. 「火をおこす」の表記
  6. 迷ったときの使い分け
  7. よくある質問
結論

「起こす」は横になっているものを立たせる、目を覚まさせる、何かを発生させるなど幅広い意味で使います。「興す」は新しく事業などを始める、衰えたものを盛んにするという意味で使います。「事業をおこす」は、ゼロから始める場合は「興す」、何かを発生させるニュアンスなら「起こす」ですが、どちらも使えます。迷ったら「起こす」で問題ありません。

起こす

おこす
立たせる・目覚めさせる・発生させる
幅広い意味で使える基本語

興す

おこす
新しく始める・盛んにする
事業・産業・国などに使う
項目 起こす 興す
基本的な意味 立たせる、発生させる 新しく始める、盛んにする
使用範囲 広い(日常的に多用) 限定的(事業・産業など)
常用漢字
主な使用例 体を起こす、子どもを起こす、事故を起こす 会社を興す、産業を興す、国を興す
対義語 倒す、寝かす 滅ぼす、衰えさせる

「起こす」の意味と使い方

「起こす」は非常に多くの意味を持つ基本的な動詞です。日常会話から文章まで、幅広い場面で使われます。

「起こす」の主な意味

  • 横になっているものを立たせる:倒れた人や物を立てる(転んだ子を起こす)
  • 目を覚まさせる:眠っている人を起床させる(朝7時に起こして)
  • 何かを発生させる:事件・事故・問題などを生じさせる(事故を起こす)
  • 動作を始める:行動を開始する(行動を起こす)
  • 電気・熱などを生み出す:エネルギーを発生させる(電気を起こす)
「起こす」を使った例文
  • ベッドから体を起こして窓の外を見た。
  • 明日は早いので、6時に起こしてください。
  • 彼は交通事故を起こしてしまった。
  • 風力発電で電気を起こす

「興す」の意味と使い方

「興す」は、新しく事業や組織を立ち上げる、または衰えたものを盛んにするという意味で使います。「起こす」より使用範囲が限定されており、主に事業・産業・国家などに対して使われます。

「興す」の主な意味

  • 新しく事業を始める:会社や事業を立ち上げる(会社を興す)
  • 産業を盛んにする:地域の産業を発展させる(産業を興す)
  • 衰えたものを復活させる:勢いを取り戻す(国を興す)

「興」という漢字には「盛んになる」「栄える」という意味があり、「興奮」「興隆」「復興」などの熟語でも使われています。

「興す」を使った例文
  • 祖父は戦後にこの会社を興した
  • 地域の特産品で産業を興す計画が進んでいる。
  • 一代で財を成し、家を興した人物だ。
  • 滅びかけた国を興す

語源・由来

「起」の成り立ち

「起」は「走」と「己」から成る会意形声文字です。「走」は走る動作、「己」は曲がった形を表し、かがんだ状態から立ち上がる動作を意味します。ここから「立ち上がる」「始まる」という意味が生まれました。

「興」の成り立ち

「興」は会意文字で、複数の手で物を持ち上げる様子を表しています。みんなで力を合わせて物事を盛り上げる、という意味から「盛んにする」「栄える」という意味が生まれました。

「事業をおこす」はどちらを使う?

「事業をおこす」は「起こす」「興す」どちらも使えますが、ニュアンスが異なります。

  • 事業を興す:ゼロから新しく事業を立ち上げ、発展させていくニュアンス
  • 事業を起こす:事業を開始する、事業という現象を発生させるニュアンス

一般的には「事業を興す」の方が「創業して発展させる」という積極的な意味合いが強くなります。ただし、現代では「起こす」で代用されることも多く、どちらを使っても間違いではありません。

「火をおこす」の表記

「火をおこす」は一般的に「火を起こす」と書きますが、本来は「火を熾す」という別の漢字があります。

  • 熾す:炭火などに火をつけ、燃え続けるようにする

「熾」は常用漢字ではないため、現代では「火を起こす」と書くのが一般的です。キャンプや料理の文脈では「火を熾す」と書くこともありますが、ひらがなで「火をおこす」と書いても問題ありません。

迷ったときの使い分け

  • 立たせる・目覚めさせる・発生させる → 「起こす」
  • 新しく事業・会社を始める → 「興す」がベター(「起こす」も可)
  • 産業・国を盛んにする → 「興す」
  • 迷ったら → 「起こす」(より広い意味で使える)

「興す」は使用範囲が限られているため、「新しく事業を立ち上げて発展させる」という明確な意図がある場合に使うのがおすすめです。それ以外の場面では「起こす」を使えば問題ありません。

よくある質問

Q
「会社を起こす」と「会社を興す」の違いは?
A
どちらも会社を設立する意味で使えます。「興す」の方が「ゼロから立ち上げて発展させる」というニュアンスが強く、「起こす」は「会社という存在を発生させる」というニュートラルな表現です。
Q
「行動を興す」とは言わない?
A
言いません。「行動を起こす」が正しい表現です。「興す」は事業・産業・国など、発展・繁栄を伴うものに使う言葉で、「行動」には使いません。
Q
「国を興す」と「国を起こす」の違いは?
A
「国を興す」は国を繁栄させる・復興させるという意味です。「国を起こす」は建国する・国を立ち上げるという意味で使えますが、「興す」の方が「発展させる」ニュアンスが強くなります。
Q
「奮起」「蜂起」の「起」と「復興」の「興」の違いは?
A
「起」は立ち上がる・始まるという動作、「興」は盛んになる・栄えるという状態を表します。「奮起」は奮い立つこと、「復興」は衰えたものが再び盛んになることを意味します。
佐藤文哉
この記事の監修者 佐藤文哉 編集長 / ライター歴15年