目次
  1. 「置く」の意味と使い方
  2. 「措く」の意味と使い方
  3. 語源・由来
  4. 補助動詞「〜ておく」はひらがなで書く
  5. よくある質問
結論

「置く」は物をある場所に配置する・設置する・そのまま残すといった意味で使います。「措く」はやめる・中止する・除外するといった意味で使い、「筆を措く」「君を措いて」などの慣用表現で見られます。日常的には「置く」を使う場面が圧倒的に多く、「措く」は限られた表現でのみ使われます。

置く

おく
物を配置する・設置する
そのまま残す・とどめる

措く

おく
やめる・中止する
除外する・さしおく
項目 置く 措く
基本的な意味 物をある場所に配置する やめる・除外する
使用頻度 非常に高い(日常的に使用) 低い(限られた表現のみ)
常用漢字の訓読み あり(「おく」) なし(表外読み)
主な使用例 机に置く、役員を置く、時間を置く 筆を措く、君を措いて、さて措き

「置く」の意味と使い方

「置く」は、物をある場所に配置する・設置する・そのまま残すといった意味を持つ動詞です。日常生活で最もよく使われる「おく」の漢字表記で、小学4年生で習う常用漢字です。

「置く」の主な意味

「置く」には複数の意味があります。

  • 物を配置する:物をある場所に移動させて固定する(机に本を置く)
  • 設置する・設ける:組織や設備などを作り備える(支店を置く、役員を置く)
  • そのままにする:ある状態のまま残す・とどめる(放置する、子どもを置いて出かける)
  • 間隔を空ける:時間や距離を隔てる(時間を置く、一人置いて隣)
「置く」を使った例文
  • テーブルの上に花瓶を置いた
  • この会社全国に支社を置いている。
  • 彼には絶対の信頼を置いている。
  • 少し時間を置いてから、もう一度話し合おう。

「措く」の意味と使い方

「措く」は、やめる・中止する・除外するといった意味を持つ動詞です。「置く」と同じ語源を持ちますが、現代では限られた慣用表現でのみ使われます。常用漢字表では「措」の訓読み「おく」は表外読みとされているため、公用文や新聞では「おく」とひらがなで書くのが一般的です。

「措く」の主な意味

「措く」には主に2つの意味があります。

  • やめる・中止する:今していることをやめる、控える(筆を措く、感嘆措くあたわず)
  • 除外する・さしおく:ある対象を除いて考える(君を措いて、何はさて措き)

「措く」を使った慣用表現

「措く」は以下のような決まった表現で使われることがほとんどです。

  • 筆を措く:文章を書くのをやめる、書き終える
  • ○○を措いて:○○を除いて、○○以外に(「君を措いて適任者はいない」)
  • さて措き:それはさておき、話題を変えて
  • 感嘆措くあたわず:感嘆せずにはいられない
「措く」を使った例文
  • 長年書き続けた連載も、ついに筆を措くときが来た。
  • この分野では、彼を措いて第一人者はいない。
  • 細かいことはさて措き、本題に入りましょう。

語源・由来

「置く」と「措く」は同じ語源を持つ言葉です。古くは区別なく使われていましたが、漢字の成り立ちには違いがあります。

「置」の成り立ち

「置」は会意兼形声文字で、「罒(あみがしら)」と「直」から成ります。「罒」は網を表し、「直」はまっすぐ見つめる意味を持ちます。網をまっすぐ立てて「おく」という意味が生まれました。

「措」の成り立ち

「措」は会意兼形声文字で、「扌(てへん)」と「昔」から成ります。「扌」は手を表し、「昔」は日を重ねる意味を持ちます。「他のものの上に重ねておく」という意味から、「そのままにしておく」「やめる」という意味に発展しました。

「擱く」との関係

「措く」と同じ「やめる・さしおく」の意味を持つ漢字に「擱く」があります。「筆を擱く」は「筆を措く」と同じ意味で、「擱筆(かくひつ)」という熟語もあります。ただし「擱」は常用漢字ではないため、新聞や公用文では「筆をおく」とひらがなで書くのが一般的です。

補助動詞「〜ておく」はひらがなで書く

「準備しておく」「確認しておく」のように、動詞に続く「〜ておく」はひらがなで書くのが正しいとされています。

なぜひらがなで書くのか

補助動詞の「〜ておく」は、物を配置するという「置く」本来の意味が薄れており、「前もって〜する」「〜したままにする」という補助的な意味を添えるだけの働きをしています。漢字本来の意味がない場合はひらがなで書くのが原則です。

具体的な使い分け

  • 明日の会議の資料を準備しておく。(補助動詞→ひらがな)
  • 机の上に資料を置いておく。(前半は動詞、後半は補助動詞)
  • 明日の会議の資料を準備して置く。(補助動詞に漢字は不適切)

公用文や新聞では、補助動詞はひらがなで書くことが定められています。ビジネス文書でも同様に、補助動詞の「〜ておく」はひらがなで書くのが一般的です。

よくある質問

Q
「筆をおく」は「置く」と「措く」どちらが正しい?
A
「書くのをやめる」という意味では「措く」または「擱く」が本来の表記です。ただし、常用漢字の訓読みではないため、新聞や公用文では「筆をおく」とひらがなで書きます。「筆を置く」と書くと、物理的に筆を机に置く動作と誤解される可能性があります。
Q
「○○を措いて」と「○○を置いて」の違いは?
A
「○○を措いて」は「○○を除いて・○○以外に」という意味です。「彼を措いて適任者はいない」のように使います。一方「○○を置いて」は「○○を残して」という意味になります。「子どもを置いて出かける」のように使います。
Q
「措く」と「擱く」の違いは?
A
どちらも「やめる・さしおく」という同じ意味を持ちます。「措く」は常用漢字ですが訓読み「おく」は表外読み、「擱く」は常用漢字外です。実用上はほぼ同じ意味で使われ、どちらも新聞や公用文ではひらがな表記が推奨されます。
Q
「時間を置く」の「置く」は漢字でよい?
A
はい、「時間を置く」「間を置く」など、間隔を空ける意味の「置く」は漢字で書いて問題ありません。「置く」本来の「ある状態にとどめる」という意味が生きているためです。