「かつ」と「及び」はどちらも英語の “and” に相当しますが、使い方が異なります。「及び」は名詞と名詞を並べるときに使い、「かつ」は複数の条件が同時に成り立つことを示すときに使います。「土地及び建物」のように要素を並列するなら「及び」、「Aであり、かつ、Bである」のように条件を重ねるなら「かつ」と覚えましょう。
| 項目 | かつ | 及び |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | 条件が同時に成り立つ | 名詞を並列する |
| 接続するもの | 条件・文・形容詞句 | 名詞・名詞句 |
| 英語での対応 | and(条件の両立) | and(要素の列挙) |
| 使用例 | 安価であり、かつ高品質 | 土地及び建物 |
| 法令での役割 | 要件の併存を示す | 対象を列挙する |
「かつ」の意味と使い方
「かつ」は、複数の条件や状態が同時に成り立つことを表す接続詞です。「Aであり、かつ、Bである」のように、両方の条件を満たす必要があることを示します。
法律文書や契約書では、複数の要件がすべて揃わなければならない場面で使われます。「かつ」で結ばれた条件は、一方だけ満たしても不十分で、両方を満たす必要があります。
「及び」の意味と使い方
「及び」は、複数の名詞や名詞句を並列してつなげる接続詞で、「AとB」という意味です。英語の “and” に相当し、要素を列挙する場面で使います。
法律文書では、対象となる物や人を列挙する際に使われます。「及び」で結ばれたものは、すべてが対象に含まれます。
- 土地及び建物を担保に入れる。
- 甲及び乙は、本契約を誠実に履行する。
- 氏名、住所及び電話番号を記入すること。
- 著作権及び商標権を侵害してはならない。
語源・由来
「かつ」は漢字で「且つ」と書きます。「且」は祭壇の形を表した象形文字で、「その上に」「さらに」という意味があります。そこから「加えて」「同時に」という意味が生まれ、条件の両立を表す接続詞として定着しました。
「及び」の「及」は、前を行く人に後ろから手を伸ばして追いつこうとする様子を表した字です。「届く」「達する」という意味から、「〜にまで範囲が及ぶ」「〜も含めて」というニュアンスが生じ、並列を表す接続詞になりました。
使い分けのポイント
「かつ」と「及び」の使い分けは、接続する内容によって決まります。
「かつ」を使う場面
- 複数の条件が同時に成り立つことを示すとき
- 文と文、または形容詞句と形容詞句をつなぐとき
- 「〜であり、かつ、〜である」という形式
例:「18歳以上であり、かつ、日本在住である者」
「及び」を使う場面
- 複数の名詞を並べて列挙するとき
- 物や人を並列するとき
- 「A及びB」という形式
例:「取締役及び監査役」「書類及び印鑑」
判断のコツ
迷ったときは、「〜と〜」に置き換えられるかどうかで判断できます。
- 「土地と建物」→ 自然に言える → 「及び」を使う
- 「安価でありと高品質である」→ 不自然 → 「かつ」を使う
間違いやすいケース
「かつ」と「及び」を混同しやすいケースを紹介します。
条件に「及び」を使ってしまう
- 18歳以上であり及び日本国籍を有する者
- 18歳以上であり、かつ、日本国籍を有する者
→ 条件の両立には「かつ」を使う
名詞の並列に「かつ」を使ってしまう
- 土地かつ建物を担保に入れる
- 土地及び建物を担保に入れる
→ 名詞の並列には「及び」を使う
よくある質問
「かつ」は漢字で書くべきですか?
法律文書では「かつ」とひらがなで書くのが一般的です。「且つ」と漢字で書くこともありますが、公用文ではひらがな表記が推奨されています。
「かつ」の前後に読点は必要ですか?
法律文書では「〜であり、かつ、〜である」のように、「かつ」の前後に読点を入れることが多いです。ただし、短い文では省略されることもあります。
「かつ」と「及び」は同じ文で併用できますか?
はい、併用できます。例えば「甲及び乙は、善良な管理者の注意をもって、かつ、法令を遵守して業務を行う」のように、名詞の並列に「及び」、条件の両立に「かつ」を使い分けます。
「及び」と「並びに」の違いは何ですか?
どちらも名詞を並列する接続詞ですが、法令用語では使い分けがあります。接続が1段階なら「及び」のみ、多段階になる場合は小さい接続に「及び」、大きい接続に「並びに」を使います。