「付く」は「くっつく」「加わる」など広い意味を持ち、目に見えないもの(知識・習慣など)にも使えます。「着く」は「到着する」「身にまとう」という意味で、場所や衣服に対して使います。迷ったときは、到着・着用なら「着く」、それ以外は「付く」と覚えておけば間違いありません。
| 項目 | 付く | 着く |
|---|---|---|
| 基本的な意味 | くっつく、加わる、備わる | 到着する、身にまとう |
| 対象 | 物・人・抽象的なもの | 場所・衣服 |
| 密着度 | 離れにくい状態 | 触れている・近くにある状態 |
| 使用例 | 汚れが付く、気が付く、名前を付ける | 駅に着く、席に着く、衣服を着ける |
| 関連熟語 | 付着、添付、付録、付属 | 到着、着席、着用、着陸 |
「付く」の意味と使い方
「付く」は、離れていたものがくっついて離れない状態になることを表します。物理的に接触する場合だけでなく、知識や習慣など目に見えないものが備わる場合にも使える、汎用性の高い漢字です。
「付く」の主な意味
- くっつく・付着する:服に汚れが付く、のりが手に付く
- 加わる・添えられる:おまけが付く、条件が付く
- 備わる・身に付く:知識が付く、自信が付く、体力が付く
- 所属する・従う:味方に付く、先生に付いて学ぶ
- 決まる・定まる:決心が付く、けりが付く
「付く」は慣用句にも多く使われます。「気が付く」「目に付く」「手が付けられない」「焼き付く」など、日常的に使う表現の多くが「付く」です。
「着く」の意味と使い方
「着く」は、目的地に到達することや、衣服などを身にまとうことを表します。「付く」に比べて意味の範囲が狭く、主に「到着」と「着用」の場面で使われます。
「着く」の主な意味
- 到着する:駅に着く、目的地に着く、手紙が着く
- ある場所に位置する:席に着く、床に足が着く
- 身にまとう:衣服を身に着ける、アクセサリーを着ける
- 乗り物を寄せ止める:車を玄関に着ける、船を岸に着ける
「着く」を使うかどうか迷ったときは、「到着」「着席」「着用」など「着」を含む熟語に言い換えられるかどうかで判断できます。言い換えられる場合は「着く」、そうでなければ「付く」を使うのが基本です。
- 新幹線は定刻通り東京駅に着いた。
- 全員が席に着いたところで会議を始めましょう。
- 出かける前に腕時計を着けるのを忘れた。
- 荷物が届いたかどうか、先方に着いたか確認してください。
語源・由来
「付く」と「着く」は、もともと同じ和語「つく」から派生した言葉です。日本語の「つく」には「離れていたものが合わさる」という原義があり、文脈に応じて異なる漢字が当てられるようになりました。
「付」の成り立ち
「付」は、人を表す「亻(にんべん)」と「寸」を組み合わせた漢字です。「寸」は手を表し、人と人が近づいて手を差し出す様子から「くっつく」「渡す」という意味が生まれました。「交付」「付与」「付託」などの熟語に使われます。
「着」の成り立ち
「着」は、「羊」と「目」を組み合わせた形が変化した漢字です。羊の毛が目立つ様子から「はっきりと見える」という意味になり、やがて「到達する」「衣服をまとう」という意味に転じました。「到着」「着陸」「着用」などの熟語に使われます。
「身につける」はどちらを使う?
「身につける」の漢字表記は、辞書や媒体によって見解が分かれる悩ましい問題です。結論から言えば、「身に付ける」「身に着ける」どちらも間違いではありません。ただし、文脈によって使い分ける考え方が一般的です。
各機関の見解
| 機関・媒体 | 表記の方針 |
|---|---|
| 文化審議会(2014年報告) | 「衣服を身に着ける」「知識を身に付(着)ける」 |
| 日本新聞協会 | 「衣服を身に着ける」「知識を身に付ける」と使い分け |
| 学習指導要領 | 「身に付ける」で統一 |
| 広辞苑・大辞泉など | 「身に付ける」を見出し語として採用 |
一般的な使い分けの目安
- 衣服・アクセサリー→「身に着ける」(着用のイメージ)
- 知識・技術・習慣→「身に付ける」(定着のイメージ)
- 迷ったとき→ひらがなで「身につける」も可
厳密な正解はないため、迷った場合はひらがなで「身につける」と書くのも一つの選択肢です。毎日新聞のアンケートでは、約3分の2の人がひらがな表記を選んだという結果もあります。
よくある質問
「席につく」は「付く」と「着く」どちらが正しい?
「席に着く」が正しい表記です。「着席」という熟語があることからも分かるように、ある場所に位置することを表す場合は「着く」を使います。
「決心がつく」「けりがつく」はどちらの漢字?
「決心が付く」「けりが付く」と、「付く」を使います。物事が決まる・定まるという意味の場合は「付く」です。「片が付く」「目鼻が付く」なども同様です。
「気がつく」と「気がきく」の「つく」は同じ漢字?
どちらも「付く」を使います。「気が付く」は認識・発見、「気が利く」は配慮・機転という意味の違いはありますが、どちらも「付く」が正しい表記です。なお、「気が利く」の「きく」は「利く」です。
「手紙がつく」は「付く」と「着く」どちら?
「手紙が着く」と、「着く」を使います。手紙や荷物が届くことは「到着」と同じ意味なので、「着く」が適切です。「届く」と言い換えられる場合は「着く」と覚えておくとよいでしょう。