目次
  1. 「着物」の意味と使い方
  2. 「和服」の意味と使い方
  3. 「呉服」の意味と使い方
  4. 語源・由来
  5. 「呉服」と「太物」の違い
  6. 迷ったときは
  7. よくある質問
結論

「着物」は本来「着る物」の意味で衣服全般を指しましたが、現在日本の伝統的な服装を指します。「和服」は明治以降に「洋服」と区別するために生まれた言葉で、日本の伝統的な服装の総称です。「呉服」は本来、中国の呉から伝わった絹織物(反物)を指す言葉で、現在は着物用の生地や着物そのものを指すこともあります。現代では「着物」と「和服」はほぼ同じ意味で使われています。

着物

きもの
本来は「着る物」全般
現在は日本の伝統衣装

和服

わふく
洋服に対する語
日本の伝統衣装の総称

呉服

ごふく
本来は絹織物(反物)
呉の国から伝来
項目 着物 和服 呉服
本来の意味 着る物(衣服全般) 洋服に対する日本の服 呉から伝来した絹織物
現在の意味 日本の伝統的な服装 日本の伝統的な服装の総称 着物用の反物・絹織物
語源 「着る物」の略 「和」+「服」 中国の「呉」の織物
成立時期 鎌倉〜室町時代 明治時代以降 古代(弥生〜飛鳥時代)
指す対象 仕立てられた衣服 仕立てられた衣服 反物(布の状態)

「着物」の意味と使い方

「着物」は文字通り「着る物」を意味し、本来は衣服全般を指す言葉でした。しかし明治時代に洋服が普及すると、洋服と区別するために日本の伝統的な服装を「着物」と呼ぶようになりました。

現在では「着物」といえば、長着(ながぎ)と呼ばれる日本の伝統的な衣服を指すのが一般的です。振袖、留袖、訪問着、小紋、紬など、さまざまな種類があります。また「kimono」は国際語としても定着しており、海外でも日本の伝統衣装を指す言葉として広く認知されています。

「着物」を使った例文
  • 成人式には振袖の着物を着る予定だ。
  • 祖母から譲り受けた着物を大切にしている。
  • 京都では着物姿の観光客をよく見かける。

「和服」の意味と使い方

「和服」は、明治時代に西洋から「洋服」が入ってきたことで、それと区別するために生まれた言葉です。「和」は日本を、「服」は衣服を意味し、日本の伝統的な服装の総称として使われます。

「和服」は「着物」とほぼ同じ意味で使われますが、より広い範囲を指すこともあります。着物だけでなく、浴衣、袴、羽織、甚平なども「和服」に含まれます。また、フォーマルな文脈や、洋服との対比を明確にしたい場合に「和服」が好まれる傾向があります。

「和服」を使った例文
  • 結婚式では和服と洋服、どちらを着るか迷っている。
  • 日本舞踊を習い始めてから和服に興味を持つようになった。
  • 和服の美しさは海外からも高く評価されている。

「呉服」の意味と使い方

「呉服」は本来、古代中国の「呉」の国から伝来した絹織物(反物)を指す言葉です。弥生時代から飛鳥時代にかけて、呉から機織りや染色の技術が日本に伝わり、その絹織物を「呉服(くれはとり)」と呼んでいました。後に音読みで「ごふく」と呼ばれるようになりました。

本来は仕立てられた衣服ではなく、布の状態(反物)を指す言葉でしたが、江戸時代以降、呉服を扱う店が着物の仕立てや販売も行うようになったことから、「呉服」は着物そのものを指す言葉としても使われるようになりました。現在でも着物を扱う店を「呉服屋」「呉服店」と呼ぶのはこのためです。

「呉服」を使った例文
  • 老舗の呉服屋で振袖を仕立ててもらった。
  • この呉服は京都の職人が手染めしたものだ。
  • 祖父は若い頃呉服商を営んでいた。

語源・由来

「着物」という言葉は鎌倉〜室町時代に生まれたとされています。それ以前は「大袖(おおそで)」「小袖(こそで)」などと呼ばれていました。「着る物」の略として自然に使われるようになり、やがて日本の伝統的な衣服を指す言葉として定着しました。

「和服」は明治時代の文明開化以降に生まれた比較的新しい言葉です。西洋の服装(洋服)が日本に入ってきたことで、日本の伝統的な服装を区別する必要が生じ、「和」(日本)の「服」という意味で「和服」と呼ばれるようになりました。

「呉服」の由来は古代中国の「呉」の国にあります。『日本書紀』によれば、応神天皇の時代に呉から織姫の姉妹(呉織・漢織)が来日し、機織りや染色の技術を伝えたとされています。当時は「呉服(くれはとり)」と呼ばれ、「くれ」は呉の国、「はとり」は機織りを意味しました。大阪府池田市には、この織姫を祀った「呉服神社」が現在も残っています。

「呉服」と「太物」の違い

かつて着物用の反物は、素材によって「呉服」と「太物(ふともの)」に区別されていました。

  • 呉服:絹織物(細い糸で織るため「細物」とも)
  • 太物:木綿・麻などの織物(太い糸で織るため「太物」)

絹は高級品で身分の高い人が身につけるものでしたが、庶民は木綿や麻の着物を着ていました。そのため「呉服屋」と「太物屋」は別々の商売として存在していました。

しかし戦後になると木綿や麻の需要が減少し、着物といえば絹が主流となったことから、「呉服」と「太物」の区別はほとんどなくなりました。現在では「呉服」は素材を問わず着物用の反物全般を指すようになっています。

迷ったときは

日常会話では「着物」「和服」「呉服」のどれを使っても通じますが、場面によって使い分けると適切です。

  • 日常会話で日本の伝統衣装を指す場合 →「着物」が最も一般的
  • 洋服との対比を明確にしたい場合 →「和服」
  • 反物や生地について言う場合 →「呉服」
  • 着物を販売・仕立てる店 →「呉服屋」「呉服店」

「着物屋」「着物店」という言い方も増えていますが、伝統的には「呉服屋」と呼ぶのが一般的です。

よくある質問

Q
「着物」と「和服」はどちらを使えばいい?
A
日常会話では「着物」が一般的です。「和服」は洋服との対比を明確にしたい場合や、フォーマルな文脈で使われることが多いです。意味はほぼ同じなので、どちらを使っても間違いではありません。
Q
「呉服屋」と「着物屋」の違いは?
A
意味はほぼ同じで、どちらも着物を扱う店を指します。伝統的には「呉服屋」という呼び方が一般的でしたが、近年は「着物屋」「着物店」という言い方も増えています。
Q
浴衣は「着物」に含まれますか?
A
広い意味では浴衣も「着物」「和服」に含まれますが、一般的に「着物」というと浴衣以外の長着を指すことが多いです。浴衣は夏の普段着として、着物とは区別して扱われることが多いです。
Q
「呉服」の「呉」はどこの国?
A
古代中国の「呉」の国です。三国志で知られる魏・呉・蜀の「呉」にあたり、中国の揚子江以南の地域に存在しました。この地域から絹織物の技術が日本に伝わったことが「呉服」の語源です。