一応の基準として、「湖」は水深が深く(5m以上)水草が底まで生えないもの、「沼」は浅く(5m以下)水草が底まで繁茂するもの、「池」は小規模で特に人工的に作られたものを指します。ただし国土地理院も「厳密に区分することは困難」としており、実際の名称は地域の慣例によることが多いです。
| 項目 | 池 | 沼 | 湖 |
|---|---|---|---|
| 水深の目安 | 浅い(5m以下) | 浅い(5m以下) | 深い(5m以上) |
| 成因 | 人工が多い | 天然 | 天然 |
| 水草(沈水植物) | 条件による | 底まで繁茂 | 深部にはない |
| 規模 | 小さい | 中程度 | 大きい |
| 透明度のイメージ | 様々 | 低い(泥深い) | 高い(澄んでいる) |
| 代表例 | 満濃池、入鹿池 | 印旛沼、伊豆沼 | 琵琶湖、摩周湖 |
「池」の意味と使い方
「池」は、地面のくぼみに水がたまった場所のうち、比較的小規模なものを指します。湖沼学上は「湖や沼の小さなものをいい、特に人工的に作ったもの」と定義されています。
日本では古くから農業用水を確保するために「ため池」が各地に作られてきました。香川県の満濃池や愛知県の入鹿池など、人工的に築造された池が数多く残っています。また、日本庭園の景観要素として作られる池も「池」と呼ばれます。
なお、天然にできた水域でも「池」と呼ばれることがあります。鳥取県の湖山池は天然の海跡湖ですが、「池」と名付けられています。
- 公園の池で鯉にエサをあげた。
- 農業用のため池が干上がりそうだ。
- 日本庭園の池に睡蓮が咲いている。
- 「池の水ぜんぶ抜く」という番組が人気だ。
「沼」の意味と使い方
「沼」は、天然にできた水域のうち、水深が浅く(一般に5m以下)、底まで水草(沈水植物)が繁茂しているものを指します。底が泥深く、透明度が低いのが特徴です。
「沼」という言葉には、「底なし沼」「泥沼」などの表現があるように、足を取られて抜け出せないというイメージが伴います。そのため、ネガティブな印象を持たれがちで、観光地としてのイメージアップのために「沼」から「湖」に名称を変更した例もあります。
一方、近年では「沼にハマる」のように、何かに夢中になる・熱中するという意味の比喩表現としても使われます。
- 印旛沼は千葉県最大の湖沼だ。
- アイドルの沼にハマってしまった。
- あの問題は泥沼化している。
- 湿原には大小の沼が点在している。
「湖」の意味と使い方
「湖」は、四方を陸地に囲まれた水域のうち、水深が深く(一般に5m以上)、中央の深い部分には水草が生えていないものを指します。池や沼より規模が大きく、透明度が高いイメージがあります。
日本最大の湖は滋賀県の琵琶湖(面積約670km²、最大水深約104m)で、秋田県の田沢湖は日本一深い湖(最大水深423m)として知られています。
ダムによってできた人工の水域も「〇〇湖」と名付けられることが多いです。定義上は人工なので「池」に分類されますが、規模が大きいため「湖」と呼ばれています。
- 琵琶湖は日本最大の湖だ。
- 山上湖でボートを漕いだ。
- 摩周湖は透明度が高いことで有名だ。
- ダム湖の周囲を散策した。
語源・由来
「池」は、「水(い)」と「処(け)」が組み合わさった語とされ、「水のあるところ」を意味します。古くは天然・人工を問わず水がたまった場所全般を指していました。
「沼」は、「ぬ」(湿った・濡れた)と「ま」(場所)が組み合わさった語と考えられ、「湿った場所」を意味します。泥が多く、ぬかるんだ土地というイメージと結びついています。
「湖」は、「水(み)」と「海(うみ)」が組み合わさった語で、「淡水の海」を意味するとされています。海のように広大な水域を指す言葉として使われてきました。
なお、明治9年(1876年)の「地所名称区別細目」という法律で、初めて日本で湖沼の定義付けが行われました。それ以前は明確な基準がなく、各地で自由に名付けられていました。
名称と定義が合わない例
国土地理院によれば、地図に記載される「〇〇湖」「〇〇沼」などの表記は、フォーレルの区分とは関係なく、その土地で実際に呼ばれている名称に基づいています。そのため、定義と名称が合わない例が数多く存在します。
「池」なのに湖クラスの例
- 湖山池(鳥取県):面積6.9km²、水深6.5m。「池」と名がつく中では日本最大。天然の海跡湖であり、定義上は「湖」に近い
- 池田湖(鹿児島県):水深56.5mの火口湖だが、歴史的経緯から「池」と呼ばれている
「沼」なのに深い例
- 菅沼(群馬県):最大水深75m。堰止湖として形成されたため「沼」と呼ばれている
「湖」なのに浅い例
- ウトナイ湖(北海道):水深わずか1.0m。定義上は「沼」に近い
- 十三湖(青森県):水深1.5m。地元では「十三潟」とも呼ばれる
人工なのに「湖」の例
- 黒部湖、奥多摩湖、宮ヶ瀬湖など:ダムによる人工の貯水池だが、規模が大きいため「湖」と名付けられている
よくある質問
「潟」は「池」「沼」「湖」とどう違う?
「潟」は海と密接に関係する水域を指します。海から切り離されてできた場所(海跡湖)や、潮の干満で水面が現れたり消えたりする場所を「潟」と呼びます。新潟県の「潟」や、石川県の河北潟・柴山潟などが代表例です。
ダムにできた水は「池」?「湖」?
定義上は人工なので「池」に分類されますが、実際には「〇〇湖」と呼ばれることがほとんどです。「池」より「湖」の方がイメージが良く、観光地として認知されやすいという理由もあります。正式名称は「〇〇貯水池」でも、通称は「〇〇湖」という例が多いです。
日本一大きい「池」はどこ?
「池」と名がつく中では鳥取県の湖山池(面積6.9km²)が日本最大です。ただし天然の海跡湖であり、定義上は「湖」に近い特徴を持っています。人工のため池では、香川県の満濃池(1.39km²)が有名です。
「沼」から「湖」に名前が変わった例はある?
あります。観光地としてのイメージアップを図るため、「沼」から「湖」に呼称を変更した例が報告されています。「沼」は泥深い・濁っているというネガティブなイメージがあるのに対し、「湖」は澄んでいて美しいというポジティブなイメージがあるためです。