「山地」は山々が連なる地域全般を指す総括的な言葉です。その中で、「山脈」は尾根が細長く連続する険しい山地、「高地」は起伏が小さく谷が発達した山地、「高原」は起伏が小さく表面が平坦な山地を指します。険しさの順では「山脈>山地>高地>高原」となります。
| 項目 | 山脈 | 山地 | 高地 | 高原 |
|---|---|---|---|---|
| 定義 | 顕著な脈状をなす山地 | 地殻の突起部の集合体 | 起伏が小さく谷が発達した山地 | 起伏が小さく表面が平坦な山地 |
| 起伏の大きさ | 大きい | 大きい | 小さい | 小さい |
| 谷の発達 | 顕著 | 顕著 | 顕著 | 発達しない |
| 表面の状態 | 険しい尾根が連続 | さまざま | おおむね平坦 | 平坦 |
| 日本の例 | 飛騨山脈、赤石山脈 | 中国山地、四国山地 | 北上高地、阿武隈高地 | 那須高原、志賀高原 |
「山脈」の意味と使い方
「山脈」は、山頂と山頂を結ぶ尾根(稜線)が脈状に細長く連続している山地を指します。国土地理院では「とくに顕著な脈状をなす山地」と定義しています。
4つの言葉の中で最も険しい地形であり、3000m級の高峰が連なるような場所に使われます。日本アルプスと呼ばれる飛騨山脈(北アルプス)、木曽山脈(中央アルプス)、赤石山脈(南アルプス)が代表例です。
- 日本アルプスは3つの山脈の総称である。
- 山脈の稜線を縦走するルートは上級者向けだ。
- ヒマラヤ山脈には8000m級の山が14座ある。
「山地」の意味と使い方
「山地」は、山々が集まっている地域全般を指す総括的な言葉です。国土地理院では「地殻の突起部の集合体」と定義しており、山脈・高地・高原を含む上位概念として位置づけられています。
起伏のある山々が広範囲に連なっている場所に使われ、九州山地、中国山地、四国山地、紀伊山地などが代表例です。山脈ほど険しくなく、高地ほど平坦でもない、中間的な地形を指すことが多いです。
- 日本の国土の約7割は山地が占めている。
- 中国山地は山陰と山陽を分けている。
- この地域は山地が多く、平野が少ない。
「高地」の意味と使い方
「高地」は、起伏がそれほど大きくなく、谷の発達が顕著で、表面がおおむね平坦な山地を指します。国土地理院では「地勢の上では山地と高原との中間的形態のものをいう」と定義しています。
山脈や山地ほど険しくないものの、谷が深く刻まれているため、居住の中心は谷底に集まる傾向があります。岩手県の北上高地や、福島県から茨城県にかけての阿武隈高地が代表例です。
- 北上高地は岩手県の中央から東部に広がっている。
- 阿武隈高地はなだらかな山並みが続く。
- 高地トレーニングは持久力向上に効果がある。
「高原」の意味と使い方
「高原」は、起伏が小さく、谷があまり発達せず、表面が平坦な山地を指します。国土地理院では「表面にまで相当の居住が営まれている山地」とも定義されており、高地よりも人が住みやすい地形です。
標高が高く涼しいため、避暑地やリゾート地として開発されることが多く、那須高原、志賀高原、軽井沢高原、霧ヶ峰高原などが有名です。
- 夏は涼しい高原で過ごしたい。
- 那須高原は関東有数のリゾート地だ。
- 高原野菜は昼夜の寒暖差で甘みが増す。
語源・由来
「山脈」「山地」は古くから使われてきた言葉ですが、「高原」という言葉は比較的新しく、江戸時代以前には存在しませんでした。「高原」が初めて登場したのは1911年(明治44年)に刊行された地理書だとされています。
これらの地形用語が正式に定義されたのは、1954年(昭和29年)に地理調査所(現・国土地理院)が「主要自然地域名称図」を定めたときです。この定義は、20万分の1地勢図などの地図に注記するために作られました。
なお、「山脈」の「脈」は血管が脈打つように細長く連なる様子を表しており、山々が血管のように一列につながっている地形を意味しています。
迷ったときは「山地」を使おう
「山脈」「高地」「高原」のどれを使うべきか迷った場合は、総括的な意味を持つ「山地」を使えば間違いありません。
ただし、日本の地名として定着しているものは、慣用的に使い分けられています。例えば「飛騨山脈」を「飛騨山地」と呼んだり、「北上高地」を「北上山地」と呼んだりすると、厳密には誤りとなるため注意が必要です。
地理の学習では、それぞれの地名とともに「山脈」「山地」「高地」「高原」の区別をセットで覚えておくと、テストでも正確に答えられます。
よくある質問
日本アルプスはなぜ「山脈」と呼ばれるの?
飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈は、3000m級の高峰が尾根沿いに連なる険しい地形です。稜線が脈状に連続しているため「山脈」と呼ばれます。1881年にイギリス人技師がヨーロッパのアルプス山脈になぞらえて「日本アルプス」と紹介しました。
「高地」と「高原」の見分け方は?
谷の発達具合で区別できます。「高地」は谷が深く刻まれており、居住の中心が谷底にあります。一方「高原」は谷があまり発達せず、表面が平坦で、高台にも人が住んだり観光地として利用されたりしています。
「北上山地」と「北上高地」どちらが正しい?
国土地理院の定義では「北上高地」が正式名称です。起伏が小さく谷が発達した地形であるため「高地」に分類されています。ただし、一般的には「北上山地」と呼ばれることもあり、学術的な議論が続いています。
険しさの順番を覚える方法は?
「山脈>山地>高地>高原」の順で険しくなります。「脈」がつく山脈が最も険しく、「原」がつく高原が最もなだらかと覚えると分かりやすいです。高地と高原は似ていますが、谷が発達しているのが高地、平坦なのが高原です。