「皆既日食」は月が太陽を完全に隠す現象、「金環日食」は月が太陽を隠しきれずリング状に見える現象、「部分日食」は太陽の一部だけが隠れる現象です。皆既日食と金環日食の違いは月と地球の距離によって決まり、部分日食は中心食帯の外側で見られます。
| 項目 | 皆既日食 | 金環日食 | 部分日食 |
|---|---|---|---|
| 太陽の見え方 | 完全に隠れる | リング状に見える | 一部が欠けて見える |
| 月と地球の距離 | 近い(月が大きく見える) | 遠い(月が小さく見える) | 関係なし |
| 天体の並び | 太陽・月・地球が一直線 | 太陽・月・地球が一直線 | 完全な一直線ではない |
| 空の明るさ | 夜のように暗くなる | 薄明かり程度 | ほぼ変わらない |
| コロナの観察 | 肉眼で見える | 見えない | 見えない |
| ダイヤモンドリング | 見える | 見えない | 見えない |
| 観測できる範囲 | 非常に狭い(幅100〜200km程度) | 狭い(幅数百km程度) | 広い |
| 発生頻度(世界) | 約18か月に1回 | 1〜2年に1回 | 年2〜5回 |
「皆既日食」の意味と特徴
「皆既日食」とは、月が太陽と地球の間に入り、太陽を完全に隠してしまう現象です。月と地球の距離が近く、月の見かけの大きさが太陽より大きいときに起こります。
皆既日食の最大の特徴は、昼間であるにもかかわらず空が夜のように暗くなることです。太陽の光が完全に遮られるため、普段は見ることのできない太陽のコロナ(外層大気)を肉眼で観察できます。また、皆既食の直前と直後には、月の谷間から太陽光が漏れ出て「ダイヤモンドリング」と呼ばれる美しい光景が見られます。
皆既日食が観測できる範囲は「皆既帯」と呼ばれ、幅100〜200km程度の帯状の地域に限られます。同じ場所で皆既日食を見られるのは数百年に一度ともいわれ、非常に貴重な天文現象です。
- 2035年に日本で皆既日食が見られる予定だ。
- 皆既日食のとき、太陽のコロナが美しく輝いていた。
- 皆既日食を見るために、遠くの国まで旅行する人もいる。
「金環日食」の意味と特徴
「金環日食」とは、月が太陽の中央を隠しても、月の周囲から太陽がはみ出してリング状に見える現象です。月と地球の距離が遠く、月の見かけの大きさが太陽より小さいときに起こります。
金環日食では太陽光が完全には遮られないため、皆既日食のように空が真っ暗になることはなく、薄明かりのような明るさになります。そのため、コロナやダイヤモンドリングを見ることはできません。しかし、金色のリングのように輝く太陽は「炎の輪」とも呼ばれ、皆既日食とは異なる幻想的な美しさがあります。
金環日食は皆既日食よりも発生頻度が高く、世界のどこかで1〜2年に1回程度起こります。日本では2012年5月21日に広い範囲で観測され、次回は2030年6月1日に北海道で見られる予定です。
- 2012年の金環日食は日本各地で観測された。
- 金環日食では、太陽がリング状に光って見える。
- 次に日本で金環日食が見られるのは2030年だ。
「部分日食」の意味と特徴
「部分日食」とは、月が太陽の一部だけを隠し、太陽が欠けて見える現象です。太陽・月・地球が完全な一直線に並ばない場合や、皆既日食・金環日食が起こる地域(中心食帯)の外側で観測される場合に見られます。
部分日食は3種類の日食の中で最も観測機会が多く、皆既日食や金環日食が起こるたびに、その周辺の広い地域で部分日食として観測されます。また、中心食を伴わず部分日食だけが起こることもあります。
部分日食では空の明るさはほとんど変わらず、コロナやダイヤモンドリングを見ることはできません。しかし、太陽が三日月のように欠けていく様子は肉眼(日食グラス使用)でも確認でき、天文現象を身近に感じられる貴重な機会です。
語源・由来
「皆既」は「すべてを覆い尽くす」という意味で、太陽が完全に隠される様子を表しています。「皆」は「すべて」、「既」は「尽きる・終わる」という意味があります。
「金環」は文字どおり「金色の輪」を意味し、太陽がリング状に輝く様子を表現しています。英語では「annular eclipse」と呼ばれ、「annular」はラテン語の「輪」を意味する言葉に由来します。
「部分」は「一部分」を意味し、太陽の一部だけが隠される現象を指します。
なお、「日食」の「食」は本来「蝕(むしばむ)」と書かれ、虫が葉を端から食べていく様子に由来します。太陽が端から欠けていく様子がこれに似ていることから名付けられました。
なぜ皆既日食と金環日食が起こるのか
地球から見ると、太陽と月はほぼ同じ大きさに見えます。これは偶然の産物で、太陽は月の約400倍大きいのですが、地球からの距離も約400倍遠いため、見かけの大きさがほぼ等しくなっています。
しかし、月の公転軌道は楕円形であるため、月と地球の距離は常に変化しています。最も近いとき(近地点)は約35万km、最も遠いとき(遠地点)は約40万kmで、約5万kmもの差があります。
この距離の違いによって月の見かけの大きさが約10%変化し、太陽より大きく見えるときは皆既日食、小さく見えるときは金環日食になるのです。
ちなみに、月は年に約3.8cmずつ地球から遠ざかっています。約6億年後には月が常に太陽より小さく見えるようになり、皆既日食は見られなくなると予測されています。
よくある質問
皆既日食と金環日食、どちらが珍しい?
世界全体では皆既日食のほうが珍しいです。紀元前2000年から西暦3000年までの5000年間で、皆既日食は約3173回、金環日食は約3956回発生すると計算されています。特定の場所で見られる頻度はどちらも非常に低く、数十年〜数百年に一度程度です。
「金環皆既日食」とは何?
同じ日食で、ある場所では皆既日食、別の場所では金環日食が見られる珍しい現象です。月と太陽の見かけの大きさがほぼ同じとき、地球の丸みによる月との距離の差で起こります。1世紀に数回程度しか発生しない非常に珍しい現象です。
「ダイヤモンドリング」とは?
皆既日食の直前と直後に見られる現象で、月の谷間から太陽光が漏れ出し、ダイヤモンドのように輝いて見えます。コロナの輝きと合わさってリングのように見えることからこの名前がつきました。金環日食や部分日食では見ることができません。
日食を肉眼で見ても大丈夫?
部分日食や金環日食を肉眼で直接見ることは危険です。太陽光で目を傷め、最悪の場合は失明する恐れがあります。必ず専用の日食グラスを使用してください。皆既日食の皆既中(太陽が完全に隠れている間)のみ、肉眼で安全に観察できます。