目次
  1. 「DNA」の意味と特徴
  2. 「遺伝子」の意味と特徴
  3. 「染色体」の意味と特徴
  4. 「ゲノム」の意味と特徴
  5. 4つの関係をイメージで理解する
  6. 語源・由来
  7. よくある質問
結論

「DNA」は遺伝情報を記録した物質(二重らせんの紐)、「遺伝子」はDNAの中でタンパク質の設計図となる領域、「染色体」はDNAが折りたたまれた構造体、「ゲノム」は生物が持つ全遺伝情報を指します。DNAという「紐」の一部が「遺伝子」、紐を巻いてまとめたものが「染色体」、全体の情報を「ゲノム」と呼ぶイメージです。

DNA

でぃーえぬえー
遺伝情報を記録した物質
二重らせん構造の紐

遺伝子

いでんし
DNAの一部
タンパク質の設計図

染色体

せんしょくたい
DNAの収納形態
折りたたまれた構造体

ゲノム

げのむ
全遺伝情報
設計図の全集
項目 DNA 遺伝子 染色体 ゲノム
性質 物質 領域・情報 構造体 概念・情報の総体
例え 紐・テープ 紐に書かれた設計図 紐を巻いた糸巻き 設計図の全集
ヒトの場合 約30億塩基対 約2万個 46本(23対) 1セット23本分の情報
関係 遺伝子を含む DNAの一部 DNAを収納 全体を指す概念

「DNA」の意味と特徴

DNA(デオキシリボ核酸)は、遺伝情報を記録している物質です。「二重らせん構造」と呼ばれる、2本の鎖がらせん状にねじれた形をしています。

DNAは、A(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4種類の塩基が並んだ構造をしており、この塩基の並び順(塩基配列)が遺伝情報を表しています。ヒトのDNAには約30億個の塩基対があり、すべて伸ばすと約2メートルにもなります。

DNAは細胞の核の中に存在し、親から子へ遺伝情報を伝える役割を担っています。

「遺伝子」の意味と特徴

遺伝子は、DNAの中でタンパク質を作るための設計図となる領域のことです。DNAの塩基配列のうち、特定のタンパク質を作る情報が書かれた部分を「遺伝子」と呼びます。

ヒトには約2万〜2万3000個の遺伝子があるとされています。ただし、遺伝子はDNA全体のわずか約2%に過ぎません。残りの約98%は、遺伝子の発現を調節する領域や、機能がまだ解明されていない領域などです。

「目の色」「血液型」などの特徴(形質)は、それぞれ対応する遺伝子によって決まります。

「染色体」の意味と特徴

染色体は、DNAがヒストンというタンパク質に巻きついて、コンパクトに折りたたまれた構造体です。約2メートルもある長いDNAを、直径わずか数マイクロメートルの細胞核に収めるための「収納形態」といえます。

ヒトの細胞には46本(23対)の染色体があり、そのうち23本は父親から、23本は母親から受け継いだものです。細胞分裂のときに染色体は凝縮し、顕微鏡で観察できるようになります。

「染色体」という名前は、染色液でよく染まることに由来しています。

「ゲノム」の意味と特徴

ゲノムは、生物が持つ全遺伝情報のことです。「gene(遺伝子)」と「chromosome(染色体)」を組み合わせた造語で、DNAに含まれるすべての遺伝情報を指します。

ヒトゲノムは約30億塩基対で構成され、約2万個の遺伝子を含んでいます。ヒトの体細胞には46本の染色体がありますが、「ゲノム」という場合は1セット(23本分)の染色体が持つ情報を指します。つまり、ヒトの体細胞は父親由来のゲノムと母親由来のゲノム、計2セットのゲノムを持っています。

4つの関係をイメージで理解する

4つの用語の関係を、本に例えると分かりやすくなります。

  • DNA = 本の紙(文字が書かれた素材)
  • 遺伝子 = 本の中の各章(意味のある情報のまとまり)
  • 染色体 = 本そのもの(紙をまとめて製本したもの)
  • ゲノム = 全巻セット(23冊の百科事典全体)

別の例えでは、DNAを「長い紐」とイメージすると分かりやすいです。紐のところどころに書かれた設計図が「遺伝子」、紐を糸巻きに巻いてコンパクトにしたものが「染色体」、紐に書かれた情報全体が「ゲノム」です。

語源・由来

「DNA」の由来

DNAは「Deoxyribonucleic Acid(デオキシリボ核酸)」の略称です。「デオキシリボース」という糖を含む核酸であることから名付けられました。1953年にワトソンとクリックが二重らせん構造を発見し、遺伝の仕組みが解明されました。

「遺伝子」の由来

遺伝子は英語の「gene(ジーン)」の訳語です。「gene」はギリシャ語の「genos(生まれ、種族)」に由来し、1909年にデンマークの植物学者ヨハンセンが命名しました。

「染色体」の由来

染色体は、染色液で染めると色がつくことから名付けられました。ドイツ語の「Chromosom」を訳したもので、「chroma(色)」と「soma(体)」を組み合わせた言葉です。

「ゲノム」の由来

ゲノムは「gene(遺伝子)」と「chromosome(染色体)」を組み合わせた造語で、1920年にドイツの植物学者ヴィンクラーが提唱しました。生物が持つ全遺伝情報を一語で表す言葉として生まれました。

よくある質問

Q
「DNA」と「遺伝子」は同じ意味?
A
違います。DNAは遺伝情報を記録した物質そのもの、遺伝子はDNAの中でタンパク質を作る設計図となる領域です。遺伝子はDNAの一部(約2%)に過ぎません。
Q
ヒトの染色体は何本?
A
ヒトの体細胞には46本(23対)の染色体があります。23本は父親から、23本は母親から受け継いだものです。なお、精子や卵子などの生殖細胞には23本しかありません。
Q
「ゲノム解析」とは何をすること?
A
生物が持つ全遺伝情報(ゲノム)を読み取り、分析することです。ヒトゲノムの解析により、病気のなりやすさや薬の効き方などを調べる「ゲノム医療」が進んでいます。
Q
DNAはどこにある?
A
主に細胞の「核」の中にあります。核の中で染色体という形で収納されています。また、ミトコンドリアにも独自のDNA(ミトコンドリアDNA)が存在します。