「逮捕」は被疑者の身柄を拘束する強制処分で、「書類送検」は身柄を拘束せずに事件の書類だけを検察に送る手続きです。「書類送検だから軽い」というのは誤解で、どちらも起訴されれば裁判を受け、有罪なら前科がつきます。
| 項目 | 逮捕 | 書類送検 |
|---|---|---|
| 身柄拘束 | あり(留置場に収容) | なし(在宅のまま) |
| 手続きの性質 | 強制処分 | 事件の引き継ぎ手続き |
| 時間制限 | 48時間以内に送検 | なし(捜査終了後) |
| 日常生活 | 不可能(拘束される) | 可能(呼び出し時のみ出頭) |
| 前科との関係 | 逮捕だけでは前科はつかない | 書類送検だけでは前科はつかない |
| 報道での使われ方 | 身柄事件で使用 | 在宅事件で使用 |
「逮捕」の意味と使い方
「逮捕」は、犯罪の被疑者の身柄を拘束する強制処分です。警察署内の留置場に収容され、行動の自由が制限されます。
逮捕が認められるのは、被疑者に「逃亡のおそれ」または「証拠隠滅のおそれ」がある場合に限られます。罪が重いから逮捕される、軽いから逮捕されない、というわけではありません。
逮捕には「通常逮捕」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」の3種類があります。通常逮捕は裁判官が発行する逮捕状が必要ですが、現行犯逮捕は令状なしで行えます。
- 容疑者は詐欺の疑いで逮捕された。
- 警察は逮捕状を請求し、裁判所の許可を得た。
- 目撃者の通報により、犯人は現行犯逮捕された。
「書類送検」の意味と使い方
「書類送検」は、被疑者を逮捕せずに、事件の捜査書類と証拠物だけを検察に送る手続きです。被疑者は身柄を拘束されず、自宅で日常生活を送りながら、捜査機関の呼び出しに応じて取り調べを受けます。
「書類送検」は法律用語ではなく、報道で使われるマスコミ用語です。法律上は「検察官送致」といい、身柄を送る場合を「身柄送検」、書類だけを送る場合を「書類送検」と区別しています。
書類送検になるのは、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断された場合です。事件が軽微である、住所が定まっている、示談が成立しているなどの事情が考慮されます。
- 容疑者は在宅のまま書類送検された。
- 書類送検後、検察が起訴するかどうかを判断する。
- 示談が成立したため、逮捕されずに書類送検となった。
「書類送検は軽い」は誤解
ニュースで「書類送検」と聞くと、逮捕より軽い処分だと思われがちですが、これは誤解です。
逮捕と書類送検の違いは「身柄を拘束するかどうか」であり、罪の重さとは直接関係しません。書類送検であっても、検察が起訴すれば裁判を受けることになり、有罪判決が出れば前科がつきます。
日本の刑事司法では、起訴されると約99%が有罪となります。逮捕されたかどうかよりも、起訴されるかどうかが重要なポイントです。
手続きの流れの違い
逮捕された場合(身柄事件)
逮捕されると、警察は48時間以内に被疑者の身柄と書類を検察に送致しなければなりません。検察官は24時間以内に勾留請求するか釈放するかを判断します。勾留が認められると、最大20日間の身柄拘束が続き、その間に起訴・不起訴が決まります。
書類送検の場合(在宅事件)
書類送検には時間制限がありません。警察は捜査が終わった時点で書類を検察に送ります。被疑者は自宅で生活しながら、検察からの呼び出しに応じて取り調べを受けます。起訴・不起訴の判断まで数か月かかることもあります。
語源・由来
「逮捕」は「逮(追いつく・とらえる)」と「捕(つかまえる)」を組み合わせた言葉です。逃げる者を追いかけて捕らえるという意味から、犯罪の被疑者を拘束することを指すようになりました。
「書類送検」は「書類」と「送検(検察官送致の略)」を組み合わせた報道用語です。身柄を送らず「書類だけ」を送ることを強調するために、マスコミが使い始めた言葉とされています。
よくある質問
逮捕されたら前科がつきますか?
逮捕だけでは前科はつきません。前科がつくのは、起訴されて裁判で有罪判決が確定した場合です。逮捕されても不起訴になれば前科はつきません。
書類送検されたら前科がつきますか?
書類送検だけでは前科はつきません。書類送検後に検察が起訴し、裁判で有罪判決が確定した場合に前科がつきます。不起訴になれば前科はつきませんが、捜査対象になった履歴(前歴)は残ります。
「身柄送検」とは何ですか?
「身柄送検」は、逮捕した被疑者の身柄と捜査書類を一緒に検察に送ることです。書類送検が「書類だけ」を送るのに対し、身柄送検は「身柄も一緒に」送ります。
書類送検後に逮捕されることはありますか?
あります。検察からの呼び出しに応じない場合や、新たな余罪が発覚した場合など、逃亡や証拠隠滅のおそれが生じれば、書類送検後でも逮捕される可能性があります。