目次
  1. 「民事」の意味と使い方
  2. 「刑事」の意味と使い方
  3. 語源・由来
  4. 同じ事件で両方が問題になるケース
  5. 「示談」はどちらの話?
  6. よくある質問
結論

「民事」は個人や企業など私人同士の権利や金銭をめぐる争いを指し、「刑事」は犯罪行為に対して国が刑罰を科すかどうかを決める手続きを指します。交通事故のように、同じ出来事で「刑事」と「民事」の両方が問題になることもあります。

民事

みんじ
私人同士の権利・金銭の争い
原告と被告が当事者

刑事

けいじ
犯罪に対する国の追及
検察と被告人が当事者
項目 民事 刑事
争いの内容 権利・義務、金銭問題 犯罪の有無、刑罰の決定
当事者 原告(私人)vs 被告(私人) 検察官(国)vs 被告人
適用される法律 民法、民事訴訟法など 刑法、刑事訴訟法など
訴えを起こす人 被害者や権利を主張する人 検察官のみ
結果 損害賠償、慰謝料の支払いなど 懲役、禁錮、罰金などの刑罰
具体例 貸金返還、損害賠償、離婚 殺人、窃盗、傷害、詐欺

「民事」の意味と使い方

「民事」私人(個人や法人)同士の権利や義務、金銭に関する争いを指す言葉です。「民」は市民・私人、「事」は事柄を意味します。

民事事件の代表例としては、以下のようなものがあります。

  • 貸したお金を返してもらえない
  • 交通事故の損害賠償を請求したい
  • 不倫相手に慰謝料を請求したい
  • 会社から不当に解雇された
  • 離婚や遺産相続でもめている

民事では、権利を主張する側が「原告」となって裁判所に訴えを起こし、訴えられた側が「被告」となります。国や警察は介入せず、あくまで私人同士で解決する仕組みです。

民事裁判で勝訴すると、「被告は原告に対し、金○○万円を支払え」といった判決が出されます。これは被害の賠償であり、刑罰ではありません。

「民事」を使った例文
  • 相手を民事で訴えることを検討している。
  • この件は民事の問題なので、警察は介入できません。
  • 民事裁判で損害賠償が認められた。
  • 刑事とは別に、民事でも責任を追及する方針だ。

「刑事」の意味と使い方

「刑事」は、犯罪行為に対して国が刑罰を科すかどうかを決める手続きを指す言葉です。「刑」は刑罰、「事」は事柄を意味します。

刑事事件の代表例としては、以下のようなものがあります。

  • 殺人、傷害、暴行
  • 窃盗、強盗、詐欺
  • 痴漢、盗撮などの性犯罪
  • 飲酒運転などの交通犯罪
  • 覚醒剤などの薬物犯罪

刑事事件では、警察が捜査を行い、検察官が起訴するかどうかを判断します。裁判では検察官と被告人(罪を犯したとされる人)が争い、有罪か無罪かが判断されます。

刑事裁判で有罪になると、懲役・禁錮・罰金などの刑罰が科されます。罰金は国に納めるものであり、被害者への賠償ではありません。

「刑事」を使った例文
  • 詐欺容疑で刑事告訴された。
  • 刑事事件として捜査が進められている。
  • 刑事裁判で懲役3年の判決が言い渡された。
  • この行為は刑事罰の対象になる可能性がある。

語源・由来

「民事」と「刑事」は、どちらも法律の分野を表す漢語です。

「民事」の語源

「民」は「人民」「市民」を意味し、国家に対する一般の人々を指します。「民事」は「民(私人)に関する事柄」という意味で、私人同士の法律関係を扱う分野を表します。

西洋法の概念を明治時代に日本語に翻訳する際、ラテン語の「jus civile(市民法)」に由来する「civil law」の訳語として「民法」「民事」が使われるようになりました。

「刑事」の語源

「刑」は「刑罰」を意味し、犯罪に対する国家からの制裁を指します。「刑事」は「刑(刑罰)に関する事柄」という意味で、犯罪と刑罰を扱う分野を表します。

「criminal law(刑事法)」の訳語として定着しました。

同じ事件で両方が問題になるケース

「刑事」と「民事」は別々の手続きであり、同じ出来事で両方が問題になることがあります。

交通事故の場合

飲酒運転で人を怪我させた場合、加害者は以下の両方の責任を負います。

  • 刑事責任:道路交通法違反や過失運転致傷罪で起訴され、罰金や懲役などの刑罰を受ける
  • 民事責任:被害者から治療費・慰謝料・休業損害などの損害賠償を請求される

刑事裁判で罰金を払っても、それは国に納めるものであり、被害者への賠償にはなりません。被害者が賠償を受けるには、別途民事で請求する必要があります。

窃盗・詐欺の場合

お金を騙し取られた場合も同様です。

  • 刑事:詐欺罪で加害者が起訴される(被害届を出す)
  • 民事:騙し取られたお金の返還を請求する

刑事裁判で有罪になっても、被害金額が自動的に戻ってくるわけではありません。

「示談」はどちらの話?

刑事事件でよく聞く示談」は、民事の話です。

示談とは、被害者と加害者の間で損害賠償について合意することで、これは私人同士の和解です。検察や警察と示談することはありません。

ただし、示談が成立すると刑事処分に影響することがあります。被害者が「加害者を許す」「処罰を望まない」という意思を示すことで、起訴されなかったり、刑が軽くなったりすることがあるためです。

よくある質問

Q
「民事で訴える」と「刑事告訴する」の違いは?
A
「民事で訴える」は損害賠償などを求めて自分で裁判を起こすことです。「刑事告訴」は犯罪被害を警察・検察に届け出て処罰を求めることで、起訴するかどうかは検察官が判断します。
Q
民事の「被告」と刑事の「被告人」は同じ意味?
A
どちらも訴えられた側を指しますが、法律上は区別されます。民事では「被告」、刑事では「被告人」と呼びます。マスコミでは刑事事件の被告人を「被告」と呼ぶことがありますが、正式な法律用語ではありません。
Q
「民事不介入」とはどういう意味?
A
警察が民事上のトラブル(金銭問題、家庭内のもめ事など)に介入しないという原則です。民事は私人同士で解決すべき問題であり、犯罪でない限り警察は動かないという考え方に基づきます。
Q
刑事で無罪になれば民事でも責任はない?
A
必ずしもそうとは限りません。刑事と民事では証明の基準が異なります。刑事では「疑わしきは被告人の利益に」という原則がありますが、民事ではより低い基準で責任が認められることがあります。