「収益」は取引が確定した時点で計上するお金(発生主義)、「収入」は実際にお金を受け取った時点で計上するお金(現金主義)です。商品を売っても代金未回収なら、収益は発生していますが収入はまだありません。会計上は「収益」、現金の動きは「収入」と使い分けます。
| 項目 | 収益 | 収入 |
|---|---|---|
| 計上基準 | 発生主義(取引確定時点) | 現金主義(入金時点) |
| 計上タイミング | 商品を売った・サービスを提供した時点 | 実際にお金を受け取った時点 |
| 会計上の位置づけ | 損益計算書の項目 | キャッシュフローの概念 |
| 売掛金の扱い | 収益として計上される | 収入にはならない |
| 使用場面 | 企業会計、財務諸表 | 家計、現金管理 |
「収益」の意味と使い方
「収益」は、取引が確定した時点で計上するお金のことです。会計上の概念で、実際にお金を受け取ったかどうかに関係なく、売買契約が成立した時点で発生します。
企業会計では発生主義という考え方に基づいて収益を計上します。商品を販売してまだ代金を受け取っていなくても(売掛金の状態)、収益として計上されます。
損益計算書に記載されるのは「収益」であり、企業の業績を正しく把握するために使われます。
- 今期の収益は前年比で10%増加した。
- 広告収益がビジネスの柱になっている。
- 収益構造の改善に取り組んでいる。
「収入」の意味と使い方
「収入」は、実際にお金を受け取った時点で計上するお金のことです。現金や預金として手元に入ってきた金額を指します。
これは現金主義という考え方に基づいています。商品を売っても、代金が振り込まれるまでは収入にはなりません。
日常会話や家計では「収入」がよく使われます。給料日にお金が振り込まれたとき、それが「収入」です。
- 月々の収入から生活費を差し引いて貯蓄している。
- 副業で収入を増やしたいと考えている。
- 今月は臨時収入があったので余裕がある。
語源・由来
「収益」の由来
「収益」は「収」と「益」の組み合わせです。「収」は入手する・取り込むこと、「益」は増えること・利得を意味します。合わせて「入ってくる利得」という意味になります。
「収入」の由来
「収入」は「収」と「入」の組み合わせです。「収」は取り込むこと、「入」は入ってくることを意味します。文字通り「取り込んで入ってくるもの」という意味で、実際に手元に入るお金を表します。
具体例で理解する
1月に100万円の商品を売り、代金は2月に振り込まれる場合を考えてみましょう。
| 時点 | 収益 | 収入 |
|---|---|---|
| 1月(商品を売った時点) | 100万円を計上 | 計上しない(0円) |
| 2月(代金が振り込まれた時点) | −(すでに計上済み) | 100万円を計上 |
このように、収益と収入では計上するタイミングが異なります。会計上は1月に売上(収益)が発生していますが、実際にお金が入ってくる(収入)のは2月です。
なぜ「収益」と「収入」を区別するのか
企業会計で発生主義(収益)が採用されている理由は、正しい期間損益計算を行うためです。
もし現金主義(収入)だけで会計処理をすると、以下の問題が起きます。
- 商品を売っても入金が翌期なら、当期の売上に計上されない
- 売掛金や買掛金の残高が把握できない
- 期間ごとの業績を正確に比較できない
一方、発生主義には以下のメリットがあります。
- 取引の発生時点で業績を把握できる
- 未収金・未払金を管理できる
- 適切な期間損益計算ができる
ただし、発生主義には「帳簿上の利益と現金の動きが一致しない」というデメリットもあります。これが黒字倒産の原因の一つで、帳簿上は利益が出ていても、現金が回収できずに資金繰りが悪化するケースがあります。
よくある質問
「収益」と「利益」の違いは?
収益は入ってくるお金の総称で、費用を差し引く前の金額です。利益は収益から費用を差し引いた「儲け」のことです。収益が多くても費用が上回れば、利益はマイナス(赤字)になります。
「発生主義」と「現金主義」、どちらが正しい?
企業会計では発生主義が原則です。企業会計原則で「すべての費用及び収益は、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない」と定められています。現金主義が認められるのは、一定条件を満たした小規模事業者のみです。
「黒字倒産」とは何?
帳簿上は利益(黒字)が出ているのに、現金が不足して倒産することです。収益は発生しているが収入(現金)が回収できていない状態で、支払いができなくなるケースです。収益と収入のズレが原因の一つです。
個人の家計では「収益」と「収入」どちらを使う?
個人の家計では「収入」を使うのが一般的です。給料が振り込まれた時点で「収入があった」と認識します。「収益」は主に企業会計で使われる用語です。