「超える」は数値・基準・限度を上回るときに使います。「越える」は場所・時間・地点を通過して向こうへ行くときに使います。イメージとしては「超える」は縦方向(上に突き抜ける)、「越える」は横方向(向こう側へ通過する)と覚えましょう。
| 項目 | 超える | 越える |
|---|---|---|
| 主な意味 | 基準・数値を上回る | 地点・時を通過して先へ行く |
| イメージ | 縦方向(上に突き抜ける) | 横方向(向こう側へ移動) |
| 対象 | 数値、金額、人数、気温、年齢、限度、予想 | 山、峠、国境、壁、冬、年、期限 |
| 関連熟語 | 超過、超越、超人、超高層 | 越境、越冬、越権、引っ越し |
| 英語のイメージ | exceed, surpass, over | cross, get over, pass |
「超える」の意味と使い方
「超える」は、数値・基準・限度を上回ることを表します。「超」の字には「限度をこす」「かけはなれている」「ぬきんでている」という意味があります。
イメージとしては縦方向。ある基準線があって、それを上に突き抜けて上回るという感覚です。
具体的な数字で表せるものには「超える」を使います。また、数字で表されていなくても、「限界」「予想」「期待」など、ある基準を上回るという意味であれば「超える」が適切です。
- 今日は気温が35度を超えた。
- 来場者数が10万人を超えた。
- 売上高が1兆円を超える見込みだ。
- 彼の能力は想像を超えていた。
- 人間の限界を超えた挑戦。
- 期待を超える結果を出した。
「越える」の意味と使い方
「越える」は、ある場所・地点・時を通過して向こうへ行くことを表します。「越」の字には「こえる」「通り過ぎる」「移る」という意味があります。
イメージとしては横方向。山や峠、国境などの障害物を乗り越えて、向こう側へ移動するという感覚です。時間についても、「冬を越す」「年を越す」のように、ある時期を通り過ぎるときに使います。
物理的な移動だけでなく、「困難を乗り越える」「壁を越える」のように、比喩的な障害を克服する場合にも使われます。
- 峠を越えるとゴールは近い。
- 国境を越えて隣国に入った。
- 冬を越して春がやってきた。
- 年を越してから連絡します。
- 困難を乗り越えて成功した。
- 権限を越えた行動は慎むべきだ。
迷いやすいケース
「超える」と「越える」の使い分けで迷いやすいケースを見てみましょう。
「年齢をこえる」はどっち?
年齢は数値なので、基本的には「60歳を超える」です。ただし、「50の坂をこえる」のように時期・節目として表現する場合は「越える」も使われます。
「気温をこえる」はどっち?
気温は数値なので「30度を超える」です。温度計の目盛りを上回るイメージです。
「壁をこえる」はどっち?
物理的な壁を乗り越えて向こうへ行く場合は「越える」。比喩的に「障害を克服する」という意味でも「越える」が一般的ですが、「限界の壁を超える」のように基準を上回るニュアンスなら「超える」も使えます。
「国境をこえた愛」はどっち?
物理的に国境を通過するなら「越える」。しかし「国籍の枠を超えた愛」のように概念的な枠組みを突破する意味なら「超える」も使われます。
「権限をこえる」はどっち?
「越権」という熟語があるように、「権限を越える」が正しいです。権限という境界線を踏み越えるというイメージです。
複合語は「越」を使う
「〜こえる」「〜こす」という複合語(合成語)では、原則として「越」を使います。
- 乗り越える(障害を克服する)
- 追い越す(前を行くものを抜く)
- 勝ち越す(勝ち数が上回る)
- 持ち越す(次に繰り延べる)
- 繰り越す(次の期に回す)
- 引っ越す(住居を移す)
- 見越す(将来を予測する)
「追い越す」は「前の人を抜いて上回る」という意味がありますが、複合語なので「越」を使うのが原則です。
語源・由来
「超」の字は、「走」(走る)と「召」(呼び出す・跳ぶ)から成り、跳び上がって高くこえる様子を表しています。そこから「限度をこす」「ぬきんでる」という意味が生まれました。「超人」「超高層」など、普通の程度を大きく上回るものに使われます。
「越」の字は、「走」(走る)と「戉」(まさかり)から成り、障害物を乗り越えて進む様子を表しています。そこから「通り過ぎる」「向こうへ行く」という意味が生まれました。「越境」「越冬」など、何かを通過することに使われます。
どちらも「走」を含んでいますが、「上に跳ぶ」か「向こうへ進む」かで意味が分かれています。
よくある質問
「100歳をこえる」はどっち?
年齢を数値として捉えるなら「100歳を超える」。ただし、100歳という節目を通過するという意味なら「100歳を越える」も使われます。NHKでは文脈によってどちらも使用されています。
「期待をこえる」はどっち?
「期待を超える」です。期待という基準・レベルを上回るという意味なので「超える」を使います。「予想を超える」「想像を超える」も同様です。
「師匠をこえる」はどっち?
「師匠を超える」です。師匠の能力・レベルを上回るという意味なので「超える」を使います。「ライバルを超える」「先輩を超える」も同様です。
「時代をこえる」はどっち?
文脈によります。「時代を越えて受け継がれる」のように時を通過する意味なら「越える」。「時代を超えた名作」のように時代の枠を突破する意味なら「超える」も使われます。
迷ったらどうすればいい?
数字に置き換えられるなら「超える」、場所や時間を通過するなら「越える」と考えましょう。それでも迷う場合は、ひらがなで「こえる」と書いても問題ありません。