「民謡」は各地域で古くから歌い継がれてきた伝統的な歌で、作者不明のものが多く、労働や祭りと結びついています。「演歌」は明治以降に生まれた大衆音楽で、作詞・作曲者がおり、恋愛や人生の哀愁をテーマにしています。民謡が「地域の歌」なら、演歌は「個人の感情の歌」と言えます。
| 項目 | 民謡 | 演歌 |
|---|---|---|
| 起源 | 古代〜(数百年以上) | 明治時代〜(約150年) |
| 作者 | 不明(口承伝承) | 作詞家・作曲家が存在 |
| テーマ | 労働・祭り・季節・祈り | 恋愛・別れ・人生・郷愁 |
| 歌詞の特徴 | 方言が多い・地域色 | 標準語・全国共通 |
| 歌い方 | 素朴・自然体 | こぶし・ビブラートを多用 |
| 目的 | 共同体の絆・祈り・労働 | 聴いて楽しむ・感情表現 |
| 伝承方法 | 口伝え(地域限定) | レコード・テレビ(全国) |
「民謡」の意味と特徴
「民謡」は、各地域で古くから歌い継がれてきた伝統的な歌です。作者は不明であることが多く、口伝えで何世代にもわたって受け継がれてきました。
民謡の大きな特徴は、地域の生活と密接に結びついていることです。田植えや漁などの労働歌、祭りや盆踊りの歌、豊作や無病息災を願う祈りの歌など、暮らしの中から生まれた歌が多くあります。
民謡の種類
- 労働歌:田植え歌、木挽き歌、舟歌など
- 祝い歌:祭り、結婚、正月などの歌
- 盆踊り歌:地域の盆踊りで歌われる歌
- 子守歌:子どもを寝かしつける歌
代表的な民謡
- 「ソーラン節」(北海道)
- 「秋田おばこ」(秋田県)
- 「花笠音頭」(山形県)
- 「安里屋ユンタ」(沖縄県)
- 祖母はよく地元の民謡を歌っていた。
- この地方の民謡には独特の節回しがある。
- 民謡の歌詞には方言が多く使われている。
「演歌」の意味と特徴
「演歌」は、明治時代以降に生まれた日本の大衆音楽です。当初は「演説歌」と呼ばれ、自由民権運動の主張を歌に乗せたものでしたが、やがて娯楽音楽へと変化しました。
演歌の特徴は、個人の感情を歌うことです。恋愛の切なさ、別れの悲しみ、人生の哀愁、故郷への郷愁など、普遍的な感情をテーマにしています。
演歌の音楽的特徴
- ヨナ抜き音階:「ファ」と「シ」を抜いた日本的な音階
- こぶし:瞬間的に音を上下させるテクニック
- ビブラート:声を細かく揺らす歌唱法
代表的な演歌歌手
- 美空ひばり
- 北島三郎
- 石川さゆり
- 五木ひろし
- 父は車の中でよく演歌を聴いている。
- 紅白歌合戦では演歌歌手が大トリを務めることが多い。
- 演歌には日本人の心情が表れている。
民謡と演歌の関係
演歌は民謡の要素を多く取り入れています。民謡で使われる「こぶし」という歌唱法は、演歌でも重要なテクニックとして受け継がれています。また、ヨナ抜き音階も民謡の音階に由来すると言われています。
ただし、民謡が「地域の共同体の歌」であるのに対し、演歌は「個人の感情を全国に発信する歌」という違いがあります。民謡は地域で歌い継がれましたが、演歌はレコードやテレビを通じて全国に広まりました。
語源・由来
「民謡」の語源
「民謡」は「民の謡(うた)」という意味です。庶民の間で歌われる歌を指し、元は「俚謡(りよう)」「俗謡」などとも呼ばれていました。明治時代に「民謡」という名称が定着しました。
「演歌」の語源
「演歌」は「演説歌」の略です。明治時代の自由民権運動で、政治的主張を歌に乗せて広めたことが始まりです。その後、政治色が薄れ、恋愛や人生をテーマにした娯楽音楽へと変化しました。
また、「艶歌」「怨歌」という当て字も使われ、色っぽさや怨念を表現する歌という意味合いもあります。
よくある質問
民謡歌手と演歌歌手の違いは?
民謡歌手は特定の地域の民謡を専門に歌い、伝統的な歌唱法を守ります。演歌歌手は作詞家・作曲家が作った新曲を歌い、レコード・テレビで活動します。ただし、民謡出身の演歌歌手も多くいます。
「歌謡曲」と「演歌」の違いは?
歌謡曲は日本の大衆音楽全般を指す広い概念で、演歌はその中の一ジャンルです。歌謡曲にはポップスやロックなども含まれます。
演歌は「日本の心」と言われるのはなぜ?
演歌が「耐える」「受け入れる」といった日本的な美徳や、義理人情、郷愁といった日本人の感情を多く歌っているためです。ただし、演歌は明治以降に西洋音楽の影響を受けて生まれたもので、純粋な伝統音楽ではありません。